なにかがやってくる

「怖い話を集めている主人公の元に怪談が届く」、そんなごくオーソドックスな序盤から徐々に徐々に、じりじりと這うように忍び寄ってくるなにものか。
様々な怪異・恐怖譚と、解釈・考察が積み重なっていく。だがそれにつれて闇は強くなり、影は濃くなり、重みが増していく。
光が当てられたはずなのに、その異様さは逆に際立っていく。これは何なのか。一部は見えているのに全体像が見えてこない。

ああそうか、これは、巨大すぎるのだ。自分はこんなに巨大なものに相対していたのかと気づいた時にはもう遅い。引き返せない場所まであなたは連れていかれている。 
虚構も現実も越えて、あなたの胸の内にぽこりと生まれるものがあるだろう。それが「呪い」というものだ。

ネットで読むことのできるホラーの中で最良のもののひとつだと思う。さぁ皆さん、読みましょう。

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