概要
けれどその国は、火の国によって滅ぼされ、
神は夢物語に、奇跡は怪しげな呪いとなってしまいましたーーー
ある日のこと、火の国では、次期王位継承者を決めるため、王からの布告がなされた。
いわく、国内で相次いでいる怪奇事件の真相を突き止めた者を次期王位継承者とする。
多くの権力者が、実力、人望ともに兼ね備えた第一王太子に味方する中、銀の騎士フェン・ヴィーズだけは第二王太子アッシュ・エイデンの下へ向かっていた。
ーー理由は、簡単。人気のない第二王太子に取り入っておけば、報奨金が独り占めできると思ったから。
ところが金炎の王太子と呼ばれるアッシュは、どうにも捻くれた男で……!?
孤高の王太子 × 秘密を抱えた男装女騎士の恋物語風ハイファンタジ
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!大切に読みたくなる
本来なら絶対に相思相愛となるべき関係でない、タイトルにもあるようにむしろ憎むべき相手に仕えることになった主人公のフェン。
フェンはめちゃくちゃ強い男装の騎士という刺さる人には非常に深く刺さる(私のことです)設定がとても魅力的で読み始めたのですが、それだけでない魅力がたくさんある作品でした。
アッシュとフェンはお互いに悩み、自分の気持に苦しんだり、相手への愛しさに気が付いていく心のゆらぎの描写が丁寧で時にほろりし、感情が揺さぶられます。
また、その二人を阻む国同士の深い因縁や陰謀が二人を阻み、物語を加速させて行きます。
23万字と少し長めのお話ですが、それを感じさせないのは非常にめりはりのあ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!炎と水。紅と蒼。繊細で硬質な恋愛ファンタジー。
ある日、火の国で王からの布告がなされた。それは、国内で相次ぐ怪奇事件を解決した者を次期王位継承者とするというもの。
王位継承権を持つのは第一王太子のユリアスと、第二王太子のアッシュ。誰もが人望と実力を兼ね備えたユリアスに味方する中、美しき男装の騎士フェンは、とある打算により、迷わずアッシュを支持することにしたのだが――。
ファンタジーの幻想的な美しさ。
人間が持つ、煮えたぎるような怒り。
心に巣食う憎悪、復讐、戦争。
次第に惹かれていく甘酸っぱい恋心。
主人公のフェンとアッシュをはじめ、二人をとりまくサブキャラたちもみんな魅力的で、とても愛しくなります。20万字以上ありま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!蒼光と朱旗、交ざり輝くその先は
印象的なのは、登場人物たちの瞳の輝き。
目論みも、羨望も、怨念も、希望も愛も、彼らのまなざしは刺すように美しい。
本性を隠し『敵陣』に潜む騎士となる彼女。
何者も気圧する鋭く研ぎ澄まされた、しかしある陰を孕む第二王太子殿下の彼。
二人の背けあった指針はやがて少しずつ、少しずつ、まるで時計の長針と短針のように重なり合って、しかしまた分かれ。
二人を囲うサブキャラクターたちも一様に輝かしく愛らしく、最後の最後まで目が離せない物語。
水の国の民と、火の国の因縁とは?
銀細工のような上質で滑らかな物語、是非ともご覧いただきたい。
もちろん、そう、ご本人評する『鈍器のような』書籍でも。 - ★★★ Excellent!!!「世界で一番あなたが好き」と全身全霊で伝えにいく物語
片や戦勝国の王子、片や敗戦国の王女。
因縁が渦巻く二人の道が重なり合う時、未来は既に決まっていたのかもしれません。
最初はいがみ合っていたはずの二人が、次第に己の声に耳を傾け、歩み寄っていく姿はとても尊いものでした。
普通は復讐や恨みに飲まれてもおかしくはないはずなのに、王女フェンはそれでも憎いはずの相手の心の痛みや苦しみに触れていく。
王子アッシュも、最初は色んなものから目を背け、逃げ、諦めていたのに、彼女と出会って救われたことで変わり始めます。
二人の優しすぎる理想は、時に周りを巻き込み、苦しめるものではありますが。
だからこそ、彼らの優しすぎる理想が世界には必要であり、それを信じて…続きを読む - ★★★ Excellent!!!その瞳に映るのは真紅の──
「世界で一番あなたがきらい」
優しそうなタイトルとは裏腹に緊張感のあるシリアスなストーリー展開にハラハラしっぱなしでした。
詳しい作品紹介は置いておいて、感想をつらつら書いて行きたいと思います。
亡国出身の男装騎士フェンと第二王子のアッシュ。
互いに複雑な立場にいながら、信頼関係を築いて行く中、自身の立場や信念が2人の関係の焦れったさを引き立てていて、最後は色んな意味で「終わった。終わってよかった。終わってよかった」と安堵しました。
ボリュームは大きめですが、そんなボリュームも気にならなくなるほど、読者の心を鷲づかみするストーリーと1人1人のキャラが立っていて、スラスラ読めました。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!僕は、めっちゃ好きですけどね!(※読者の声です。)
申し訳ありません!ひとこと紹介の無粋な一言、作中には一切出ません! 重ねて言いますが、この小説に対する読者(自分)の声です!
素敵に魅力を伝えるレビューが多く、どうレビューを書こうか悩みましたが、もう個人的に思ったことを、書こうかと思います。
ジャンル「恋愛」と言うには、バトル、不穏な事件、神秘の力、と贅沢な内容が収まり切らず。
ジャンル「異世界ファンタジー」と言うには、物語の超重要な恋愛要素が見えなくて、ぼやっとした印象になる。
てんこ盛りの内容で、どうにも一言で魅力を言い表しにくいから、「恋愛小説は苦手だな」とか「男装ヒロインとか興味ないな」で読まずに損をする人もいると思います。
だ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!裏返り合う愛しさと憎しみ――運命の果てに、二人は剣を執る
世界で一番、あなたのことが嫌いでした。
ある日、火の国ではある布告がされた。
連続不審火。それを解決した王位継承者に、次期王位を確約する。
現在、王位継承権を持つ者は、第一王太子のユリアスと、第二王太子のアッシュ。美麗と名高き騎士のフェンは、迷わずにアッシュを支持する。
人徳の薄い彼に付き従うものは少ない。それ故に、彼に貢献できれば多大な恩恵に預かることができるという打算に基づいてというものだった。
だが、当のアッシュは、王位にこだわらず、傲然たる立ち振る舞い。
それに呆れながらも、フェンは彼をけしかけるようにして、連続不審火の調査に乗り出す。
その道中、明らかになるフェン…続きを読む