蒼光と朱旗、交ざり輝くその先は

印象的なのは、登場人物たちの瞳の輝き。
目論みも、羨望も、怨念も、希望も愛も、彼らのまなざしは刺すように美しい。

本性を隠し『敵陣』に潜む騎士となる彼女。
何者も気圧する鋭く研ぎ澄まされた、しかしある陰を孕む第二王太子殿下の彼。
二人の背けあった指針はやがて少しずつ、少しずつ、まるで時計の長針と短針のように重なり合って、しかしまた分かれ。
二人を囲うサブキャラクターたちも一様に輝かしく愛らしく、最後の最後まで目が離せない物語。

水の国の民と、火の国の因縁とは?
銀細工のような上質で滑らかな物語、是非ともご覧いただきたい。
もちろん、そう、ご本人評する『鈍器のような』書籍でも。

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