#5日後に退職する乳酸菌飲料販売レディ

作者 萌木野めい

99

33人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

お母さんって、色んなものの板挟みになりやすい立場です。仕事と家庭、子供関係、義両親と夫……。それぞれにストレスがありながら、当たり前のように受け入れて頑張っています。

この物語のヒロインは、働くお母さん。仕事と家庭の板挟みになり、自分では納得したつもりでも納得しきれない切ない思いを抱いて、退職の日を迎えます。

彼女が地道に、誠実に作り上げてきた信頼が輝くとき、読者はきっと胸いっぱいになるでしょう。

すべての「頑張るお母さん」にご一読いただきたい一作です。

★★★ Excellent!!!

 きっとこういう現実が社会の中に沢山転がっているのだろう——。

 乳酸菌飲料の訪問販売員である主人公は5日後にこの仕事を退職することが決まっている。そんなスタートから徐々にわかってくるもの。彼女の背負う家庭のことや、そしてこれまで彼女が積み上げてきた多くの信頼が物語の中からこちらへとひしひしと伝わってくる。

 こんな風に誠実に仕事をしていきたい。
 けれど女性であるが故に、母であるが故に、こんな選択を迫られる人も世の中には少なくはない。

 彼女が「辞めるから」こそやろうとした行動には、凄く驚きながらもその勇気に対して読みながら全力で応援していました。
 彼女が日々配達していたものは商品だけでなく、信頼と皆の笑顔や希望だったのかもしれない。

 多くの選択があり、どうしても選ばなければいけない世の中で、きっとこの作品に共感し励まされる人は多いはず。
 是非とも読んでいただきたい一作です。

★★★ Excellent!!!

 「仕事とわたし、どっちが大事なの!」とは、ひと昔前に彼女が彼氏に、妻が夫に問い詰める言葉としてよく見聞きした事ですが、どちらも大事だと答えるしかないのが実際で。
 どんな対象でも真剣で大事だからこそ頑張れるのだけど、頑張りがどちらかに偏った瞬間、誰かに責められる事はままある事で……。

 自分の選択に迷う事も、何かを得るには何かを捨てなければならないと思える事もあるけれど、それでも大切なものは揺らがないし、譲ってはいけない部分もある。折り合いをつける必要があると悩みつつも頑張る主人公の葛藤と考え方は、仕事と家庭、家族の間で板挟みに苦しむ人への光明になりうると思います。

 淡々と心情が語られるだけの物語と思いきや、手に汗握る展開があるなどドラマ性も高い作品です。一読の価値あり。ぜひ。

★★★ Excellent!!!

 制服を着て販売業務をする櫻子は、母であり妻であり嫁であり、しかし櫻子という一人の人間である。
 子育てに追われ家にこもれば、社会と疎遠になっていると感じるときもあるだろう。
 当短編は、それを打破するため働きに出て、自分という尊厳を守るひともいることにフォーカスした、現代社会ならではのひと幕であった。

 母として、妻として、嫁としても当然大切でやりがいはあるだろう。
 しかし社会人として、自分として、この仕事に従事する者としてなにができるか、なにがしたかったか、なにが大切か――リアルとフィクションの狭間を巧く描いてある秀作と感じました。

★★★ Excellent!!!

こちらはとある母親が天職を手放すまでのお話です。

その職というのは、乳酸菌飲料の販売員。
雨の日も晴れの日も笑顔と共に配達を続ける彼女は、とあることをきっかけにその職を手放す決心をします。

その最後の5日間をこの短編という1万字以内で、彼女の揺れ動く心理描写をメインに描かれている本作。
読んでいると後半から自然と涙が溢れ出し、ラストはもう誰にも見せられない状態でした。

母親として、働く社会人として、一人の女性として、主人公の気持ちが見事に描かれており、共感できるところもとてもありました。
読まれる皆さんも「そうだよね」と思ってしまう部分があるのではないかなと思います。

何を一番に優先すべきか、何を一番に大切にすべきか。

個人的には順番なんて決められないと思っていますが、生きる上でその順番を決めなくてはいけない面も出て来ると思います。

そんな人生の岐路に立たされている主人公の、過去、そして今と未来にぜひ触れていただきたいなと思います。
彼女を通して、読者にとっても何かしらの希望が見えるのではないかなと思います。

★★★ Excellent!!!

泣けました……!

乳酸菌飲料販売員をしている働くお母さんが主人公のお話です。
家庭の事情から仕事を辞めざるを得なくなった彼女の、最後の5日間。
退職にあたって先輩やお客さんから掛けられる言葉に、これまでの彼女の駆け回ってきた日々が見え、ぐっと胸が詰まります。
最後の最後、彼女はとある重大な決意をするのですが……

妻として、母としての自分と、販売員としての自分と。
どれも大事です。
ラストの展開に胸があたたまりました。
自分も仕事を頑張ろうと思える、素敵なお話でした!