「もう少し、頑張れそう」彼女が配達していたのは信頼と希望だったのかも

 きっとこういう現実が社会の中に沢山転がっているのだろう——。

 乳酸菌飲料の訪問販売員である主人公は5日後にこの仕事を退職することが決まっている。そんなスタートから徐々にわかってくるもの。彼女の背負う家庭のことや、そしてこれまで彼女が積み上げてきた多くの信頼が物語の中からこちらへとひしひしと伝わってくる。

 こんな風に誠実に仕事をしていきたい。
 けれど女性であるが故に、母であるが故に、こんな選択を迫られる人も世の中には少なくはない。

 彼女が「辞めるから」こそやろうとした行動には、凄く驚きながらもその勇気に対して読みながら全力で応援していました。
 彼女が日々配達していたものは商品だけでなく、信頼と皆の笑顔や希望だったのかもしれない。

 多くの選択があり、どうしても選ばなければいけない世の中で、きっとこの作品に共感し励まされる人は多いはず。
 是非とも読んでいただきたい一作です。

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