概要
しかし販売員としての櫻子の生活は今週で終わる。母親は働くべきではないと義父に強く反対されたからだ。
生きがいとも呼べる天職を失おうとしていた退職日、櫻子には最後に絶対にやろうと決めていたことがあって……
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タイトルの感じよりだいぶシリアスですのでご注意ください。
この話はフィクションです。実在する団体、企業、商品等とは一切関係ありません。
また、特定の企業、団体を中傷する意図はありません。
カクヨムWeb小説短編賞2022にて、短編特別賞を受賞しました!
応援下さった方、本当にありがとうございました!
カクヨムWeb小説短編賞2022 最終選考結果
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- ★★★ Excellent!!!仕事をしている私も、大事な私の一部だった。
題名通り、主人公は乳酸菌飲料を売る仕事をしている。しかし、義父の猛烈な反対によって、仕事を辞めざるを得なくなってしまった。まだ幼い我が子もいるし、夫は理解がある人だ。だから妻としての自分も、母としての自分も、ちゃんと社会の中にいるし、私の価値が消えてしまうわけではない。それなのに、主人公は仕事に対して今まで真摯に向き合ってきただけに、寂しさを感じていた。
いつものコースで、いつものお客様に乳酸菌飲料を買って貰う日々。しかしある場所で不協和音が聞こえて来た。果たしていつもお客様に、主人公が出来ることとは?
ただのお仕事小説と侮らない方がいいです。
人間関係や立場の違いからくる軋轢、その…続きを読む - ★★★ Excellent!!!社会よこの叫びが聞こえるか 仕事の矜持も家族の絆も「自分」も、失わない
櫻子さんには大好きな仕事がある。乳酸菌飲料の販売レディだ。
櫻子さんのお母さんも同じ仕事で、シングルマザーとして育ててくれた母が大好きだった。そして今は三歳の娘も、保育園の迎えの自転車で飲むこの乳酸飲料の味が大好きだ。
だけど、生きがいとも言えるこの仕事も後五日で終わりだ。
「母親は働くべきでない」と、義父に強く反対されたから――
櫻子さんは、決して誰かの言いなりになるような「弱い」女性ではありません。辞職を決めたのも、夫と義父との関係に不和を及ぼしたくなかった、誰よりも自分を優先してくれた母から受け継いだ、家族への想いがあるからです。
それでも。社会と役割と、会社と責任と、見えない圧力に…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「もう少し、頑張れそう」彼女が配達していたのは信頼と希望だったのかも
きっとこういう現実が社会の中に沢山転がっているのだろう——。
乳酸菌飲料の訪問販売員である主人公は5日後にこの仕事を退職することが決まっている。そんなスタートから徐々にわかってくるもの。彼女の背負う家庭のことや、そしてこれまで彼女が積み上げてきた多くの信頼が物語の中からこちらへとひしひしと伝わってくる。
こんな風に誠実に仕事をしていきたい。
けれど女性であるが故に、母であるが故に、こんな選択を迫られる人も世の中には少なくはない。
彼女が「辞めるから」こそやろうとした行動には、凄く驚きながらもその勇気に対して読みながら全力で応援していました。
彼女が日々配達していたものは商品…続きを読む - ★★★ Excellent!!!仕事と家庭、天秤の傾きに悩む人へのメッセージ。
「仕事とわたし、どっちが大事なの!」とは、ひと昔前に彼女が彼氏に、妻が夫に問い詰める言葉としてよく見聞きした事ですが、どちらも大事だと答えるしかないのが実際で。
どんな対象でも真剣で大事だからこそ頑張れるのだけど、頑張りがどちらかに偏った瞬間、誰かに責められる事はままある事で……。
自分の選択に迷う事も、何かを得るには何かを捨てなければならないと思える事もあるけれど、それでも大切なものは揺らがないし、譲ってはいけない部分もある。折り合いをつける必要があると悩みつつも頑張る主人公の葛藤と考え方は、仕事と家庭、家族の間で板挟みに苦しむ人への光明になりうると思います。
淡々と心情が語ら…続きを読む - ★★★ Excellent!!!いち社会人としてのプライドのために
制服を着て販売業務をする櫻子は、母であり妻であり嫁であり、しかし櫻子という一人の人間である。
子育てに追われ家にこもれば、社会と疎遠になっていると感じるときもあるだろう。
当短編は、それを打破するため働きに出て、自分という尊厳を守るひともいることにフォーカスした、現代社会ならではのひと幕であった。
母として、妻として、嫁としても当然大切でやりがいはあるだろう。
しかし社会人として、自分として、この仕事に従事する者としてなにができるか、なにがしたかったか、なにが大切か――リアルとフィクションの狭間を巧く描いてある秀作と感じました。 - ★★★ Excellent!!!大好きなモノを手放さなければいけない。そんな時あなたならどうしますか?
こちらはとある母親が天職を手放すまでのお話です。
その職というのは、乳酸菌飲料の販売員。
雨の日も晴れの日も笑顔と共に配達を続ける彼女は、とあることをきっかけにその職を手放す決心をします。
その最後の5日間をこの短編という1万字以内で、彼女の揺れ動く心理描写をメインに描かれている本作。
読んでいると後半から自然と涙が溢れ出し、ラストはもう誰にも見せられない状態でした。
母親として、働く社会人として、一人の女性として、主人公の気持ちが見事に描かれており、共感できるところもとてもありました。
読まれる皆さんも「そうだよね」と思ってしまう部分があるのではないかなと思います。
何を一番に優先…続きを読む