いち社会人としてのプライドのために

 制服を着て販売業務をする櫻子は、母であり妻であり嫁であり、しかし櫻子という一人の人間である。
 子育てに追われ家にこもれば、社会と疎遠になっていると感じるときもあるだろう。
 当短編は、それを打破するため働きに出て、自分という尊厳を守るひともいることにフォーカスした、現代社会ならではのひと幕であった。

 母として、妻として、嫁としても当然大切でやりがいはあるだろう。
 しかし社会人として、自分として、この仕事に従事する者としてなにができるか、なにがしたかったか、なにが大切か――リアルとフィクションの狭間を巧く描いてある秀作と感じました。

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