突然の出逢いを果たした、主人公の三重野紫苑と夢喰いのあやかしである獏。
どうやら彼はとてつもなく弱っているようで……。
あやかしが視え、少し不思議な力を持つ紫苑は幼い頃のトラウマで大好きなピアノを遠ざけていた。
彼女が幼馴染の薬屋で、偶然見てしまった悪夢を食べた獏。聞けば紫苑はその白い獏にとり憑かれてしまったらしい。
そんな不思議な出逢いから始まるのは、まさにピアノの演奏会のような優しくて癒されるストーリー。
彼女のために奔走する、本当は心優しい獏——アルバと。
その獏に次第に心惹かれていく紫苑。
幼馴染の魔女の男の子雪火、彼の元に棲まう九尾。
不思議な退魔師や、人と共存している数々のあやかし達。個性的な彼らに囲まれ、時にシリアスな場面に襲われながらも、誰もが優しい気持ちになれるような各章の幕引きは、作者さんならではの素晴らしい手腕。「あっ、この名前知ってる!」と、あやかしの登場にはニヤリとしてしまう場面も。
一歩一歩、誰もがドレミから覚えていくピアノの演奏のように、互いを思いやり寄り添っていく紫苑とアルバの関係は必見です。
このリサイタルはまだ始まったばかり!
奏でられる二人の、そして皆の調べにアナタもきっと夢中になるはず。
この作品の根底に流れているものは優しさではないか、とそんなふうに感じています。
自らと違うものを理解し認めようとする優しさ、愛する人へ心を伝えたいと願う優しさ、傷ついた者を労わろうとする優しさ……
それらはすべて作者さまの文章が醸し出すもの。
読む者をそっと癒すような文体が魅力の本作は獏と視えちゃう女の子のちょっと不思議な交流の物語です。
――主人公紫苑はあやかしが見える普通の女の子。ある日、超絶イケメン♡獏に憑りつかれてしまいそこからちょっと不思議な共同生活が始まるのです……
獏の彼の名前はアルバくんといいます。実は紫苑ちゃんが作中に贈った名前なのですが、名前ってとても大事なものですよね。わたしはそう思っています。
名前を与えられた瞬間から個としての輝きをよりいっそう放ち始め、周りもそう認識する。そして、アルバくんと紫苑の関係が始まるのです。
イケメン獏のしぐさにドキドキ、
……あれ、もしかして恋が始まるのでしょうか(*´ω`*)?
これからの二人の関係にも注目です。
この機会にお手に取ってみてはいかがでしょう。
心の優しい主人公の紫苑は、あやかしが見える体質。行き倒れの子猫のあやかしを見つけて拾った所、なんとその子猫は超イケメンの貘のあやかしだった!
悪夢を食べる貘のアルバ君と、ピアノを奏でることで癒やしの力を持つ紫苑。なんと言ってもこの二人の甘酸っぱい恋心が見所です。あやかしであるアルバ君は初っ端から「紫苑は俺のものだ!」発言をして彼女を戸惑わせてしまうし、あやかしと人間の価値観の違いで彼の本心がわからず、紫苑も彼の気持ちにヤキモキすることに。
それでも少しずつ距離を縮めていく様子は見ていて可愛らしく、ホッコリ温かい恋愛を楽しむことができます。
アルバ君だけでなく、退魔師の雨潮くんや、魔女を名乗る幼馴染の雪火。豆狸やカラス天狗、九尾の狐など様々な濃いキャラクターが登場し、二人の周囲を賑わせているのも楽しいです。ほのぼのあやかし物かと思いきや、紫苑のトラウマを作ったと思われる鵺の存在など、シリアスな要素もスパイスとして組み込まれており、物語の行方に目が離せません。
紫苑とアルバの恋の行方は?鵺を退治することはできるのか?
ハラハラドキドキしながらあなたも一緒に見守っていきましょう!
……という衝撃展開から始まるこの物語は、心にトラウマを抱えたヒロイン紫苑と、彼女に取り憑いた「獏」のあやかしが恋したり、仲間と一緒にあやかしを助けたり、戦ったりする、ほっこり&ちょっとバトルの恋愛ファンタジーです。
ヒロインである紫苑は、ピアノを弾くことで癒やしの力を発動できるという不思議な力を持っています。その力のせいで起こった事件が彼女の心に傷を残し、それ以降ピアノを弾くことができなくなってしまいました。
そんな紫苑に寄り添って守る決意をする「獏」のあやかしは名を与えられ、紫苑と少しずつ、確かな絆を育んでいく。
ヒロイン紫苑と「獏」のヒーロー以外にも、個性的なキャラクターがいるのも見所です。
あやかしの中でも強い力を持つ九尾さん。九尾さんに気に入られて取り憑かれている、紫苑の幼馴染み雪火くん。
謎のイケメン転校生、雨潮君に、紫苑の後輩である胡桃ちゃん(&豆狸)。
キャラ同士の掛け合いでは、所々にクスッと笑える箇所もあって、読んでいてとても楽しいです。
こちらの作者さんは、たまに地の文(一人称)でキャラが自然とツッコミしてたりするので、そこも実は個人的にお勧めだったりします。ツッコミ箇所を探してみるのもいいかも?
何やら邪悪な敵の気配もありますので、これから皆がどのように力を合わせて戦っていくのか。
そして紫苑と「獏」の彼との恋模様の行方も楽しみです。
カクヨムコン7に飛来した今作は人とあやかし達が奏でるハートフルストーリー。
Twitterの予告から興味を惹かれた私、その直観は正しく「依月さかな」さんの世界観に飲み込まれました。
主人公「三重野紫苑」は普通の人とは少し違いあやかしが見える少女。しかし過去のとある事件の影響であやかしを恐れ、大好きだったピアノからも距離を取って日常を送っていた。
そんな折、弱って倒れていた子猫を拾い家に連れ帰った……しかし。
実は子猫の正体は夢喰いあやかしの『獏』、真っ白な髪に三角耳が特徴のとびっきりのイケメン、しかも紫苑ちゃんが目を覚ましたベッドの上に覆いかぶさっている!?
「お前、おれの女になれ」
予測不能な告白、そこから少女の時間は動き出した。ドキドキする獏との出会いを経て紫苑ちゃんは過去のトラウマと改めて向き合う。
懐かしい風を感じる田舎町を舞台に登場する個性豊かな登場人物たち。
幼馴染であやかし専門の薬屋を営む雪火くん、彼の傍で飄々と笑う九尾さん、さらには突然やって来た謎の転校生。
ときに笑い、ときのほのぼの、更にはあやかしを狙う退魔師との戦いも勃発!
目まぐるしく訪れる非日常、町の影で目を光らせる因縁の影。
あやかしを恐れながらもそれでも助けたい力になりたいと、勇気を振り絞る紫苑ちゃんの優しさには心から応戦したいと思える魅力があります。
そして彼女は獏に『アルバ』と新しい名を与え彼との絆を深めていく。
ぶっきらぼうながら、誰よりも少女を大切に想うアルバ君。彼が言った「お前、おれの女になれ」発言の真意とは? そして紫苑ちゃんは大好きだったピアノを再び弾けるのか?
読んでいるこちらも心が癒される少女とあやかしの優しい青春。ハラハラするシリアス展開もあり物語に良いアクセントを加えます。
草木の香り、鈴虫の声、蛍の淡い光。まるで御伽噺の一節を連想させる日常と非日常の混ざり合い楽しめる素敵な作品。じんわりと心を温めてくれる甘酸っぱい恋愛譚、是非とも一度読んでみてください。
作者が力を入れた郷土料理のシーンには注目です、和気藹々と進む食事に笑顔になること間違いなしです。
あやかしが多く住まう日本の田舎町を舞台に、心に傷を持った高校生の少女と、彼女に取り憑いた夢喰い獏の青年が、一緒にトラウマを乗り越えてゆくお話です。全体的にハートフル、それぞれの持つ事情はわりとシリアス。
ある朝、目覚めた紫苑は自分の上に見知らぬ青年が覆いかぶさっているのに気づきます。頭が真っ白になった彼女にその青年は「おれの女になれ」と言い放ち、そのあと子猫のような白い生き物へと姿を変えてしまったのでした――。
ピアノを愛しながらも、幼少時の事件で弾けなくなってしまった紫苑。あやかしと関わりの深い彼女の周りには、望むと望まざるとあやかしに関わる事件が絶えません。
近所に住む狐持ちの幼馴染み、雪火と、彼に取り憑く九尾の狐、そして行き倒れの白い獏の青年と一緒に、紫苑は自分のトラウマと向き合い、大好きなものを取り戻してゆくことになります。
ピアノの音色と幻想的な演出に彩られた、あやかしと少女の現代あやかしラブストーリー。過去の事件と現在の事件をスパイスに紡がれる、ほっこり癒しの物語をぜひ、ご覧ください。