負けるな、今日も笑顔で、明日もあなたを待っている人がいる

短編ながら、現実に即した家族ドラマで、ミステリー要素もある重厚な作品。
時代に沿っていて、テーマが世の中に関係している。

「○日前」で区切ることで、販売に出ていることを省略して伝える書き方が上手い。
全体的に話しかけるような書き方をしているので、非常に読みやすい。
主人公のプロ意識の高さがわかる。
難しい言葉や言い回し、気取った言葉を使わず、ありふれた言葉で情景描写が書けているから、素直に読み手へと伝わる。

本作でいちばん重要なのは「声に笑顔を込めること」だと思う。
雨の日も風の日も、夏の暑さや冬の寒さの中、自分自身の努力と頑張りが、山下をはじめ周りの人たちに好まれ、「櫻子に辞めないでほしい」との声が義父を動かしたのだ。
正しいものは得をし、正しくないものは損をする。
世の中、こうでなくてはと思う。

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