海の煌めきと陸の眩さ。その二つの種族が出逢う時、この伝説は始まった——

 凛々しい女主人公のレイア。幼い頃の"空白の記憶"を求め、武術の腕を磨きながら生活していた彼女が偶然助けたのは、侵略された人魚の国の王子様だった——!?

 カンペルロ王国に囚われている仲間達を救い出し、自国であるアルモリカ王国を取り戻したいという彼・アリオンの願いにレイア、そして彼女の幼馴染で医術師のセレナ、槍使いのアーサーが協力して旅に出ることに。
 腕にはめられた腕輪のせいで思うとおりに人魚の力を使えないでいるアリオンと、それぞれの持つ力を発揮して皆で助け合いながら旅を進める一行。
 このキャラクター達皆が魅力的で、ちょっとした掛け合いやご飯のシーンではとてもほっこりと癒されること間違いなし。
 情景や色彩の描写も美しく、人魚という不思議な存在を宝石のような眩さと共に想像できるはず。

 やがて彼らはアルモリカ王国へ辿り着き、この争いと悲しみの連鎖を生み出した悪王の元へと向かうことに。

 一人の男の欲深い所業が生み出した多くの悲劇、それは果たして終わりを迎えるのか。
 強い能力を持ちながらも仲間を愛し、それが時に脆くも見えてしまう主人公達の人間らしさが話を読み進めていくほどにとても愛おしいです。

 果たしてアリオンは国と、囚われた民を救うことができるのか。
 そしてレイアは自身の記憶と、大切な何かに気づけるのか。

 蒼い海のさらに深く深く底の碧。
 その、まさに人魚達にしか触れられないような奥深い美しさの中に、読者自身も潜っていけるような作品です。

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