第73話 アレをすることで仲良くなる♡(意味深)


 文化祭の今後について、俺が考えていることを包み隠さずに湯ノ原に伝えると、湯ノ原は眉を顰める。


「さ、沙優ちゃんと雪川さんを仲良くさせる!? しょ、正気ですか?」

「正気も何も、それくらいやらないとクラスの雰囲気が悪いままだろ?」

「それは……でも、あの二人が仲良くなっても、好実はギャル達と仲良くなるつもりはありませんから!」


 湯ノ原はそう言い切りながら、怒りに任せてポーチドエッグサンドを食べる。


 まあ、そりゃそうなるよな。


「でもさ湯ノ原、お前は雪川のことは認めてるんだろ? SNSとかも見てるって言ってたじゃないか」

「それは、まあ……」

「それなら雪川を含めたギャル達のことも少しは理解できると思うんだ。その架け橋としてまずはあの二人が仲良くなれば、二つのグループも少しは距離が縮まるのかなって」


 俺はその可能性に賭けている。


 優等生グループだって別にギャル達の全てを嫌っているわけじゃない。


 本当にギャル達の全てが嫌いなだけなら、雪川のSNSなんて見ないと思うし、なんならアンチになっていてもおかしくないからだ。


 優等生たちはただ、昨年の文化祭の一件からなっているんだ。


「……なんで、梶本くんはそこまでして二つのグループをまとめたいんですか?」

「え?」

「別にこのままでもいいじゃないですか。優等生は優等生、ギャルはギャル、それでいいじゃないですか」


 湯ノ原はいつになく真剣な眼差しで俺の方にそう訴えかける。


 確かに、当人である湯ノ原の言い分なんだから尊重すべきかもしれない。


 でもそれなら、それを傍観してる俺の主張も述べないとフェアじゃないよな。


「あのさ……湯ノ原は嫌じゃないか? 今のクラスの空気」

「な、なんのことですか」

「分かってるだろ? 女子と女子、ギャルと優等生が真っ二つになって睨み合うクラス。こんなの周りの男子たちからしたら居心地悪く思うだろ?」

「それは……」


 男子代表っぽく言ってしまったが、俺は普通にぼっち陰キャなんだが。


「好実、男子たちのことを考えたことなかったです。やっぱりそう思うんでしょうか?」

「まあ、多分な。転校生の俺ですら異様な空気感だと思ってるわけで」


 俺が正直にそう答えると、湯ノ原は少し唇を噛んだ。

 や、やばい、もしかして怒らせた?



「分かりました……それなら、好実は副学級委員長として、少しだけ考えを改めます」

「へ? そ、それじゃ!」

「ただし! 好実が協力するのは沙優ちゃんと雪川さんの仲良し大作戦までです」


 な、仲良し大作戦? なんか勝手に名前つけられてるんだが。


「その後のギャルと優等生グループの仲直りとやらには協力しません」

「え、お、おう。でもとりあえず、あの二人の仲を取り持ってくれるってことだよな?」

「はい。部外者なのに梶本くんが頑張るのなら……好実も協力しないとダメだと思うので」

「湯ノ原……」


 こうして俺は、湯ノ原というロリ同級生を味方につけることに成功した。


 ただ、問題は具体的な方法なんだよなぁ……。


「それでは梶本くん、手っ取り早く仲良くさせたいなら、"アレ"をするのはどうでしょうか」

「あ、アレ?」





—— —— —— —— —— —— —— ——

アレって絶対ドスケベのことやろ(適当)


【ご報告】

最新作が電撃文庫より発売されましたー。

『陰キャの俺が席替えでS級美少女に囲まれたら秘密の関係が始まった。』(イラスト・黒兎ゆう先生)

相変わらずドスケベなのですが、お近くの書店などでご購入いただけたら幸いです。(ドスケベ土下座)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る