第24話 まさかの展開(大波乱)
俺と春原沙優という、謎のチョイスで担任の佐藤先生から呼び出しをくらっていることを湯ノ原から伝えられた。
「なんで転校生と春原が呼び出しされてんの」
「好実が知るわけないじゃないないですか。そもそも好実と沙優ちゃんは、一緒に学食でご飯を食べていたのに急に佐藤先生から呼ばれて……ほら梶本くんも、行ってください」
「あ、ああ……」
湯ノ原に促され、俺は席を立とうとしたが。
「ん? 雪川?」
雪川が立ち上がろうとした俺の腕を掴んだ。
「わたしも……行った方がいいかしら?」
「なんでだよ。関係ないだろ?」
「……あなたの、代理人として」
「プロスポーツ選手か何かなのか俺は」
よく分からないが……雪川のことだ。
意外と心配してくれてたりするのだろう。
「まぁ、佐藤先生から説教とかされる覚えはないし、そもそも佐藤先生はあんま怒らないだろ?」
「それも……そうね」
「だから安心しろって」
俺はそう諭しながら雪川に腕を離してもらい、教室から出るのだった。
☆☆
俺と春原に用がある、ってなんだ?
あるとすれば……英語の小テストのことしか思いつかないのだが。何かあったか?
しかしながら担任の佐藤先生は国語の教師であり、英語の小テストは全く関係ない。
(一体、何がどうなっているのやら)
担任の佐藤先生は温和な性格の女性教師だ。
今年から赴任してきたらしく、俺も今年からこの高校に転校して来たので、なんとなく親近感を持っていたりする。
説教とかをするタイプでもないし……ほんと、何なんだろうか。
呼び出しの理由が皆目見当もつかない状態のまま、俺は教室を出て職員室へと向かう。
すると、職員室の前にある窓際に、背中を預けながら佇む一人の女子生徒が。
「春原っ?」
「あ、梶本くんやっと来たねー。遅いじゃん」
吹き抜ける風にその繊細な髪を靡かせながら俺を待っていたのは、春原沙優だった。
「先に職員室入っていれば良かったのに」
「だって呼ばれたのはあたしと梶本くんでしょ? 一緒に聞いた方がいいかなって。だから待ってたの」
「そう、なのか……遅くなってごめん」
「いーのいーの。それより入ろ?」
春原って……やっぱ人が良いよな。
どっかの食い意地ギャルだったら「先に入ったのだけど?」とか普通に言いそうだし。
「あたしたち二人が呼び出しって、なんだろうね?」
「俺もそれが気になってて……」
佐藤先生の机まで行くと、佐藤先生は柔和な笑みで俺たちの方を向いた。
「あ、やっと来たね、梶本くんと春原さん」
「あの先生、俺たちに用って」
「うん、あなたたちを呼んだのは……お願いしたいことがあって」
「お願い、ですか?」
良かったぁ……怒られる系の可能性もあると思ってたし。
「来月の文化祭なんだけど」
「え、来月? 文化祭?」
「学級委員長の春原さんと、あと梶本くんにクラスを纏めてもらおうかなっと」
「わぁ! いいですねそれ。頑張ろうよ梶本くんっ」
「……え? お、俺が!?」
またしても波乱の予感が漂い始めるのだった。
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