第40話 ドスケベコスプレをするドスケベたち
文化祭、クラスで何をやるのか、その話になって俺が提案するのは……。
「こ、コスプレ喫茶……なんてのはどうだろうか」
「「……」」
そう、コスプレ喫茶だった。
「はぁ……コスプレって。どうせ遥希は春原さんのおっぱい見たいだけでしょ?」
「ええっ!? そ、そうなの?」
「ち、ちげーよっ! 別に俺はおっぱいが見たいなんて一言も!」
「あ、あのー、お客様? ご注文の品をお持ちしました……」
テーブルまでフラッペとフードを運んでくれたスノートップスの女性店員が、気まずそうに言う。
「あ……ありがとうございます」
俺も俺で気まずそうにボソッと呟いて、テーブルに置いてもらう。
おっぱいって言ったの聞かれたよなぁ……(童貞羞恥)。
「ご、ごゆっくりどうぞ〜」
一刻も早く帰りたい……。
「話を戻すわ。春原さんはずっと勘違いしているようだけど……遥希はかなりのムッツリドスケベよ」
「おまっ! だから何を根拠に!」
「根拠? そうね……例えば遥希は、隣の席なのをいいことに横目でわたしのおっぱいをジロジロ見てくるし、この前、部屋にお邪魔した時なんて、家具と家具の隙間に『ドキッ! 元グラドルだらけの水泳大会! ポロリしかないよ?』というアダルティなビデオを隠していたもの」
「ええっ!」
沙優はドン引きしながら、俺の方を見てくる。
は? 乃絵留のやつ、なんで……!
しっかり隠したはずなのに……じゃない!!
「は、遥希、くん? 本当?」
「あーもう! 変に方向に話を脱線すんな! 男子高校生のプライベートくらい目を瞑れよ!」
「アレ……実はわたしも帰ってから『おためし』の部分だけ見てしまったの」
「は、はあ?」
「……とても、えっちだったわ」
「やかましい!」
謎に自分も観た事実まで暴露する乃絵留。
こっそり観ていたことは認めるから、もうこれ以上傷口を抉るのは本当にやめて欲しいんだが。
「それで……どうして遥希はコスプレ喫茶をやりたいのかしら」
「うわぁ! いきなり落ち着くな!」
「は、遥希くんがえっちなのは置いておいて、あたしもなんでコスプレ喫茶なのか気になる!」
乃絵留のせいで沙優から引かれてしまったのは間違いないが、今はそれよりちゃんと説明しないとな。
「前回の反省を活かすならこれしかないだろ? ギャルグループはみんな髪色を変えたくないんだから、とりあえずコスプレってことにして、髪色はそれで誤魔化せばいい」
「それは……確かにそうね」
「でもでも! 好実ちゃんたちはそういう派手なことやるのには反対しそうだし……」
「大丈夫だ沙優。文化祭で何をやるかは基本的に投票とかだろ? 俺たち側からコスプレ喫茶を提案すれば、間違いなくスケベな男子たちは賛成するだろうし、そこに乃絵留が賛成することも伝えれば人見たちも賛成せざるを得ない」
あの性格がキツい人見香奈でさえ、乃絵留のやることなすことに反論をしないのは、何度も見た光景だ。
「つまり優等生グループは少数派。昨年とは真逆で多数派の意見に従うしかないってわけだ」
「で、でも!」
「さっきからどうしたの春原さん? やけに反対側に回っているように思えるけど」
「えっ、そ、それは」
「ふっ……春原さん、もしかして自信がないの?」
乃絵留は小さく笑みを浮かべながら、まるで煽るように言う。
「まぁ? このわたしなら、変態の遥希でも満足するようなドスケベなコスプレをできるのだけど……あなたはできないのかしら?」
「あ、あたしは……」
「仕方ないわよね? 春原さんはわたしと違って面白みのない優等生だもの」
「お、おい乃絵留、そんな」
「で、できるもん!」
は……はあ!?
「あたしもドスケベコスプレするもん!」
沙優は顔を真っ赤にしながら少し怒り気味に声を荒げて言った。
な、何言ってんだこの
「言質取ったわ。遥希、春原さんがドスケベコスプレすることも併せて、明日のHRでコスプレ喫茶を提案するわよ」
よ、容赦なさすぎるだろこのギャル……。
「ちょっ! う、嘘でしょ!? やっぱり今のナシ! お願いだからやめてー!!」
沙優の心からの叫びだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます