第15話 春原沙優のとんでもない秘密(爆乳)
「ね、梶本くんって頭いいでしょ!」
何を勘違いしたのか、春原は俺が頭の良い奴だと思ったらしく、俺に詰め寄り、期待の眼差しを向けてくる。
お、おいおい、なんだこの状況。
「俺は別に……勉強とか平均的っていうか、むしろ東京の高校では、順位は下から数えた方が早かったし」
「でも今、英語の小テストは軽くって言ってたよね?」
「それは、だって小テストだぞ? 教科書の確認問題しか出ないし」
「ぐ、ぐぬぅ……」
春原は、ナイフとかで刺された時のリアクションをすると、椅子に座り直す。
「やっぱり梶本くん、頭いいじゃん……」
「ええ?」
「だってあたしの場合! 教科書読んでても英語の小テスト、スラスラ解けないもん!」
そのデカくてタプタプな胸を、思いっきり張りながら春原は自信満々に言う。
いや、そんな自慢げに言われても……。
「あのさ、俺まだこの高校来てから、テストとか受けた事ないんだけど、春原は優等生の鏡みたいな存在だし、それに、成績も良いって聞いた事あるんだけど」
「ちゅ、ちゅう、だよ」
「は?」
「中くらいなの! いつも200人中100位くらい! むしろ良くてこの順位だからいつもは120位くらいなの!」
「え、ええ……」
容姿端麗、成績優秀、おまけに性格は明るくてコミュ強の春原沙優……というのがこの2週間で得た春原の情報だったのだが……どうやら一つ間違っていたらしい。
「勉強、苦手なのか?」
「その……日本史とか、生物とかの記憶すればいける教科のテストは比較的良い点取れるんだけど……数学とか英語とかが苦手で」
「な、なるほど……でもさ、みんな春原は成績も優秀って言ってたけど」
「あれは! なんていうか、その」
春原は口をもごもごさせて、言いずらそうに俯く。
「あ、あたしが1年生の頃から率先して委員長の仕事をやってたら、勝手に『勉強までできる!』みたいなイメージが出来上がってて……」
まぁ、クラス委員長に立候補するような奴が勉強苦手とか思わないだろうし……何より春原沙優の場合は、その見た目が可愛いので、何でも完璧というイメージが先行したのかもしれない。
「でも日常会話とかテストの順位表が張り出されたら、さすがに周りにバレるんじゃ」
「うちの高校って昨今の個人のプライバシー云々で、順位表とか張り出したりしてなくて。それもあってバレてないのと、友達には信じてもらえなくて」
「信じてもらえない?」
「うん。順位を聞かれて『100位くらいだよ〜』って言っても、みんなから『謙遜しすぎー』とか『嘘やめてよー』とか言われちゃうし。かと言って自分のテスト用紙を見せて順位をわざわざ見せるのは恥ずかしいし……それもあって、各教科の答案用紙は、誰にも見られないように、受け取ったらすぐに隠しちゃってるというか」
な、なるほど……そういう。
春原は勉強面において、周りが想像する完璧美少女の『春原沙優』というイメージと、現実の自分のギャップに悩んでいたと。
まぁ容姿とスタイル、性格に関しては言うまでもなく完璧なんだが……あとおっぱい。
「でもね! みんなの中のイメージを崩さないよう、毎朝こうやって早めに登校して、勉強してるんだけど……」
「だけど?」
「普段ならこうやって上手いことノートを隠せるのに、今日は失敗しちゃったー」
普段なら!? って、このデカパイノート隠し、いつもやってんの!?
「にしても梶本くんは鋭いねー。他の子だったらあたしのノートを見ても、『さすが優等生〜』って言って終わりだもん。『何のための勉強?』とか、わざわざ聞いてこないし」
「……それは、なんか、ごめん」
「あははっ、もぉー、別に謝る事じゃないよ? 頭良くないのを隠してるあたしが悪いんだし」
春原は自虐的に言って、顔を曇らせる。
早朝の教室で、まさか春原沙優とこんな会話をすることになるとは……昨日のギャルグループといい、とんでもないことが立て続けに起きすぎだろ。
「はー! 梶本くんにはバレちゃったことだし、責任、とってもらわないとなー」
「は? え、責任!?」
「とりあえず……あたしの勉強、梶本くんに見て欲しいな? いいよね?」
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