第19話 ロリと巨乳とギャルギャルと


 俺たちに話しかけてきたのは、クラスメイトの湯ノ原好実ゆのはらこのみ

 彼女はあの春原沙優の親友にして、その小さなロリ体型からクラスのマスコット的存在の副学級委員長。


 まだ2週間しか見てないが、授業中の態度や普段の行いからして、少し大人ぶってるロリ感はある。


「あァ? なんなの湯ノ原? 私ら話してんだけど」

「ふん……! 梶本くん、今いいですか?」

「ちょ、無視すんなし!」


 人見が今にも食らいつきそうな勢いで、湯ノ原を睨みつける。


(そういや昨日、人見は俺の部屋で湯ノ原のことが大嫌いだって言ってたもんなぁ)


 春原沙優の親友であるということは、当然、彼女もまた優等生グループの中心人物というわけで。


 きっと昨年の文化祭で一悶着あったのも、この二人がバチバチしていたのが大きいかもしれないな。


「梶本くんは部活動の申請書をまだ出してないですよね?」

「部活動申請書……? ああ、ごめん、まだ」


 帰宅部一択だった俺は、もちろんそんな紙を貰ったことすら覚えていなかった。


「あれって帰宅部でも出すのかな?」

「はい! 無所属なら無所属で所属しない旨を書いて出す決まりなので、朝のHRの後に先生に出してくださいね? 紙はこちらにありますので」

「ああ、ありがとう湯ノ原。ちょうど部屋に忘れて来たから助かるよ」


 と言いつつも、部活動の申請書はこの前、生ゴミを包む紙が無かったからそれに使ったと思われる……。


「えへへー、これからも遠慮なく好実を頼ってくださいねー? なんせ副学級委員長なので!」


 湯ノ原はない胸を張りながらドヤった。

 敬語を使ってほんのり大人ぶってるものの、中身と見た目は子供っぽい。


「はぁ、もう我慢の限界だわ。おい湯ノ原、なんでに気安く話しかけてんの?」

「え、梶本くんが……ギャル側?」


 一転、湯ノ原が後退りながら俺を見る目が変わる。

 あー、なんかまた面倒な予感。


「転校生はあんたらみたいなお堅い人間じゃなくて、私らと仲良くしたいんだってさ」

「言ってないんだが」

「梶本くん……見かけに寄らずギャル男だったんですか……?」

「どこをどう見たらそうなる!?」


 勘違いにも程があるだろうに。


「じゃあもしかしてさっき好実を煽てて来たのは、好実を油断させて、いずれは好実の処●を奪おうとか思ってたんじゃ」

「は? お、おい、何を言って」

「近づかないでください! ギャル男は怖いです! 沙優ちゃんに助けてもらいます! 沙優ちゃーん!」


 と言って湯ノ原は、逃げるように春原の方へ去っていった。

 見た目が子供なだけじゃなく、思考回路まで短絡的で子供っぽすぎるだろ。


「へっ、ざまあ」

「人見、お前な」


 ったく。どんだけ仲悪いんだよ。


「遥希ってもしかして……」

「な、なんだよ」


「ロリコンなのかしら」


 やっぱり雪川の思考回路もなかなかに短絡的だった。

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