第20話 爆乳小テスト開始!!
湯ノ原に言われた通り部活動の紙を担任に出さないといけないので、朝のHRの前に書くことに。
湯ノ原が気を利かせてくれて、用紙の氏名欄には既に俺の名前と出席番号まで書いてくれていた。しかも達筆。
あの見た目と舌足らずな喋り方はただのロリなのだが……意外にもかなりのしごできである。
(と、とりあえずさっさと書いておこう)
空欄になっている所属したい部活の欄に、シャーペンを動かす。
帰宅部の場合は無所属って書いとけばいいよな?
「遥希、部活動入らないの?」
俺が無所属と書こうとした時、横から雪川が話しかけてくる。
「そりゃそうだろ? 運動とかロクにやったことないし、文化系も、そもそも向いてないし」
中学も前の高校でも、やりたいことがなくて帰宅部だったわけで。
「てっきりお料理研究部に入ると思ってた」
「また料理料理……いい加減にしてくれ! そもそも特技でもなんでもないからな!」
「そうだ。お料理研究部に入って、わたしたちに振る舞う料理の腕をあげてもらえないかしら?」
「自己中の塊かお前は」
おそらく雪川の脳内では、既に俺はグループのコックポジションに収まっているらしい。
「ちょい乃絵留。あんま転校生を困らせるなし」
「別に……困らせてないのだけど」
人見がなぜか俺を擁護するように雪川に注意してくれる。
傍若無人な雪川と違って、意外と常識人なのは人見なんだよな。
「乃絵留だって帰宅部なんだから、転校生もそれでいいじゃん。それに、下手に部活に入らせたら晩飯作ってもらえないっしょ?」
「それは……確かに」
前言撤回。
やっぱこいつらどっちも俺のこと料理人にしか思ってねえな。
俺はそのまま『無所属』と書いた紙を朝のHRの後に部活動の申請用紙を提出し、晴れて正式に『帰宅部』になった。
(誰がお料理研究部なんかに入るかってんだ)
「はーい全員席つけー、今日は小テストやるから早めに授業始めるぞー」
英語教師が朝のHRの後の10分休みの途中で入ってくる。
朝っぱらから勉強を教えたり、ロリに絡まれたり、傍若無人な腹ペコギャルに振り回されたりして、忘れがちだが、今日は1限から英語の小テストがあるのだ。
(春原は大丈夫だろうか……)
小テストとはいえ、テスト前なのに自分の心配よりも春原のことが気になってしまう。
一番前の席に座る春原は、背筋をピシッとしながら座り、教科書をもの凄い読み込んでいた。
あんなに頑張っても結果を出せずに悩む優等生がいれば、片や右隣の問題児ギャルはロクに勉強せずにネイルをいじっていても1位の成績を残す。
「テスト用紙はちゃんと行き渡ったなー? それじゃあテスト始めっ」
現実とは、実に非情なものだ。
☆☆
「はーいテスト止め。今から採点するから、全員静かに自習な」
……ふぅ。初めての小テストだったが、俺はまあまあの出来だったと思う。
事前に言われていた通り、そこまで問題数は多くなく、教科書をしっかり理解していれば簡単な問題ばかりだった。
テストが回収された後は、自習の時間になり、授業の終わり頃、採点が終わって先生からテストが返される。
俺は……90点、か。
シンプルなケアレスミスと、並び替えの問題でミスして5点ずつ引かれていた。
(まぁ……こんなもんだろ)
「雪川、どうだった?」
「……100点」
「うわ……英語得意なのマジだったのか」
「何よそれ、もしかしてわたしを疑って——」
その時……だった。
「ねっ、梶本くん見て見てっ!」
春原沙優が、フリスビーを咥えた大型犬みたいに、身体(巨乳)を揺らしながら俺の机に駆け寄って来る。
は、春原……い、嫌な予感。
「梶本くんのおかげで、90点取れたよー」
「「おかげで?」」
人見と雪川から、鋭い視線が俺に飛んできた。
春原……!!
その報告、今するなよおおっ……!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます