第53話 美少女たちのエッチなエッチな大喧嘩
「さてと、そろそろ晩飯を作るか」
「今日はあたしもお手伝いします! もちろん乃絵留ちゃんも!」
「ええ……わたしは出資してる立場なのだから、あっちでテレビを見たいのだけど」
俺がエプロンを着けていたら、沙優が自分たちも作ると言い出して、乃絵留の手を引きながらキッチンまで来た。
「え、でも二人は」
「いいからいいから。いつも遥希くんに頼むのは悪いし」
沙優は笑顔で言いながら乃絵留にも手伝わせる気満々なのだが……。
こんな見るからにスペースを食いそうなデカパイ2人が、狭っ苦しいキッチンに入って来たら作業効率が低下して仕方ないんだが。
そう思いつつも『胸がデカいからダメ』なんて言えるはずもなく。
こうしてDEKAPAI'sキッチンが始まってしまう。
「カレー作るから。乃絵留は野菜を洗ってもらってもいいか? 沙優は洗った野菜の皮を剥いてもらって」
「春原さんに皮を剥かせるなんて……遥希、あなたやはりド変態ね」
「変態なのはお前だお前! 今の発言、普通にアウトだからな!」
「え、どういう意味? 遥希くん」
「沙優……頼むから真面目な顔で聞かないでくれ」
早速、乃絵留からとんでもない下ネタが飛び出したが、それでも俺たちは料理に戻った……が。
「ちょっと春原さん……シンク周りが狭苦しいのだけど。もう少し小さくならないの?」
「そ、それは仕方ないじゃん!」
同じシンクで野菜を洗う乃絵留と皮剥きの沙優の間で言い合いが始まってしまう。
「ふん……そもそも春原さんの胸が無駄にデカいのが原因じゃないかしら?」
「の、乃絵留ちゃんの方が大きいくせに!」
「どこにそんな根拠があるのかしら」
「この前自分で言ってたじゃん! 96だって」
「あなたとは3違うだけ。とにかく狭いものは狭いの」
「もー! 屁理屈だよそれっ」
乃絵留も乃絵留で常に沙優には喧嘩腰なのもあるが、沙優もそれを徐々にスルーできなくなってるんだよな。
「「むぅ……」」
ギャルと優等生……やはり生きるグループが違うといがみ合ってしまうもなのだろうか。
それはそうと神聖なキッチンでおっぱいを揺らしながら喧嘩するのはやめて欲しいものだ。おっぱいも神聖ではあるが。
「……って、今はそうじゃない。ほら、喧嘩してないで料理に戻るぞ。乃絵留はそのまま野菜洗っててくれ。沙優はこっちで肉焼いてくれればいいから」
「う、うん」
そう促しながら俺は沙優を鍋の前に呼ぶ。
「このお鍋でお肉を炒めたらいいの?」
「お、おう……それより沙優、お前らしくないな。乃絵留の挑発に乗るなんて」
「だ、だって……」
沙優は唇を尖らせながらいじけた。
普段はしっかり者の沙優だが、煽り耐性はかなり低いらしい。
というかあの春原沙優を煽るやつなんて乃絵留くらいだもんな。
「こんな調子で文化祭、大丈夫かなあたしたち」
「沙優……」
確かに乃絵留と沙優がこれからどう協力していくのかが、二つのグループの分かれ道にもなり得るからな。
不安が募る中、乃絵留が勝手にカレーのルーを開け始め……って!
「お、おい! なんでもうルー開けてんだ!」
「え? その鍋にルーを入れてじっくり煮込んでから野菜とお肉を入れるんじゃないのかしら」
「逆だ逆! ルー単体を煮込むな!」
本当に不安しかないんだが!?
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