第72話 ドスケベエッグサンドはドスケベ(意⭐︎味⭐︎不⭐︎明)


 レタス、ベーコン、ポーチドエッグの3つの具材をトーストに挟んだ、そこそこ贅沢なオシャレ朝メシ。


 あとはインスタントのクラムチャウダーを二人分カップで作ったら完成だ。


「わぁ……良い朝ごはんになりましたね!」


 湯ノ原は満足そうな笑みを浮かべながら、ポーチドエッグサンドを手に取る。


「それでは、いただきま」

「ちょっとまて!」

「はひ? もう食べてもいいんじゃないんですか?」

「そのままただサンドして食べるなら目玉焼きサンドと変わらないだろ?」


 ポーチドエッグサンドをそのまま食べようとした湯ノ原を制しながら、俺はナイフを手にとって湯ノ原のポーチドエッグサンドにそれを伸ばす。


 俺が湯ノ原のポーチドエッグサンドの黄身に、包丁で優しく縦一線の切り込みを入れると、とろ〜っと中から黄身が垂れて美味しそうにサンドの上に広がった。


「こ、これはっ! なんかオシャレな見た目になりました!」

「そうだろ? 写真映えっていうか、よくこうやってるのを見かけるからな」


 もちろん、コックパッドで。


「それに、料理っていうのは味だけ良ければいいってものじゃないんだ。見た目、香り、味、その全てを総合して料理になるんだ」

「料理は……総合……」

「ああ。こうやって見ると、さっきよりも美味しそうだろ?」

「……っ」


 湯ノ原はポーチドエッグサンドを見つめながら、何やら考え込む。


「ん、どうした? 湯ノ原」

「これ……喫茶店のメニューにどうですか! 見た目も良いですし! 材料も揃えやすいので!」


 コスプレ喫茶のメニューに、ポーチドエッグサンド……か。


「確かにそれ、悪くないかもな。じゃあまた、月曜日にみんなで話し合ってみるか?」

「はいっ! そうしましょう!」

「そんじゃ、そろそろいただくか」

「いただきますっ!」


 すっかり話し込んでしまったが、俺たちはやっとポーチドエッグサンドを食べることに。


 久々に少しはマシな朝メシを作ったが、やっぱしっかりと作ると美味いよな。当たり前か。


「美味しいですねっ! 梶本くんっ」


 いや、湯ノ原がいるからか。

 雪川と一緒に食べた時にも思ったが、一人で食べるよりも誰かと食べる方が美味しいんだ。


 根拠があるわけではないが、間違いなく、美味しい……。


「梶本くん? どうしました?」

「あ、いや、なんでもない。それより文化祭といえばさ、ちょっと考えてることがあって」

「考えてること? ですか」

「単刀直入に言うと、今回の文化祭で女子グループの蟠りをなくしたいんだ。そのために……雪川と春原に、仲良くなってもらう」

「は? ……はあ⁉︎」





—— —— —— —— —— —— —— ——

誰かというよりも、ドスケベと一緒に食べたいよなぁ


【ご報告】

最新作が電撃文庫より発売されましたー。

『陰キャの俺が席替えでS級美少女に囲まれたら秘密の関係が始まった。』(イラスト・黒兎ゆう先生)

相変わらずドスケベなのですが、お近くの書店などでご購入いただけたら幸いです。(ドスケベ土下座)

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