第34話

 決闘は進み、第二決闘が始まった。第一決闘に勝ったエリアの人が、別エリアの人と戦う事になっていた。

 少し相手の強さは上がっている為、簡単には勝ちにくくなっていた。

 決闘回数は参加者で変わる為、いかに体力を温存するかが肝になっていた。

 

「二回戦始まったね」

「そうですね。――何回戦うか少し見てきます」

「うん。行ってらっしゃい!」


 アルは体力配分を考える為にボードの元に向かう。

 ボードに向かい何回戦あるかを確認する。大体八回戦ぐらいか? とアルは思いミリヤの元に戻った。

 

「八回戦ぐらいありそうです」

「おかえりー。多いね、体力温存しないと……!」

「ティル様達とは六回目で戦えそうです」

「まだまだ先だね。頑張って勝とう!」


 拳をぎゅっと握り笑うミリヤにアルは可愛いなと思い微笑んで頷いた。


「ねえねえ! あんたらアルとミリヤやんな?」


 その時背後から明るい女性の声が聞こえ二人は振り返る。そこには白髪金目の女性と赤髪に薄い青目の男性。


「そうだけど、貴方達は……?」

「うちはアリア! アリア・ペール! 次のあんたらの対戦相手や!」

「ミツ・アベリスク。伯爵……だけどこの学園では関係ないか。よろしく」


 アリアは胸を張りながら答え、ミツは表情を変えず淡々と答える。


「貴方方は確か、土と火を使ってましたね」

「そうだな。そっちは闇と光か? 相性合わなそうなのにあそこまでできるものだ」

「ミツ、威圧感出すのやめーや」


 じっと冷めた目で見るミツにアルは同じく冷めた目で見つめ返す。

 ミツの様子に気づいたアリアはばしん! とミツの背中を叩いて謝る。


「ごめんなあ。ミツ、人見知りやねん」

「いっった……貴方、相変わらず馬鹿力だな!」

「うっさいわ。黙ってな」

「あ、あの……」

「ミリヤちゃんごめんなあ。ミツが目付きわるうて。許してえな?」


 ミリヤが話しかけるとアリアはミツから視線を逸らしミリヤの手を握った。


「……用はそれだけですか。用がないなら戻ってほしいのですが」

「あ? 何だその言い方」

「なんです? 何も間違った言い方していないでしょう?」

「あ、アルくん!」

「ミツ! 喧嘩売らんの!!」


 二人は喧嘩をしそうなアルとミツを止める。


「ごめんなあ。用はもうないねん。決闘楽しみにしてるわ! じゃあね!」

「うん、またね!」

「おいアリア」

「ミツは黙ってな!! 行くで!!」


 アリアはミツを引っ張りその場を離れた。アルはじっと二人を少しの間見つめてから視線をミリヤに戻した。


「はあ」

「アルくん大丈夫?」

「人見知りであの態度は嫌ですね。まあでも、戦うんですから別にいいですが」

「そっかあ。それにしてもアリアさんかっこよかったね。あの二人、幼馴染とかなのかな?」

「そうかもしれませんね。さて、作戦を練りましょうか」

「うん」


 アルはミツにもやもやしたまま、二人に勝てるような作戦を立てた。


 

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