第三章
第30話
行方不明になったぺリアにクロスはぺリアに、無事でしょうかあ。と呟いていた。
「ぺリアさん、無事だといいね……」
「そうですね……」
平然と嘘をつきながらアルは会話に参加する。あの後誰にもお前がやったんだろ。等言われなかった為、アルは普通に生活をしていた。
いつものように教室に向かい、ミリヤとクロスと話す。なんの代わり映えのない毎日。
死体の話もすぐに収まり、学園もいつもの日常に戻っていた。
「決闘祭参加したかったですよお……」
「ぺリアさんがいない今、クロスさんには参加権利がない……」
「うぅ……」
「げ、元気出して!」
決闘祭に参加できなくなったクロスは落ち込んだ。決闘祭は一週間後な為、新しい人と組む時間がほぼなくクロスは「参加したかったですーー!!!!」と叫んだ。
それを見てアルは悪い事した。と思いつつ特に反省する事なくクロスを宥めた。
「次がありますよ。決闘祭は一年に二回あるんですから」
「そう、ですねえ……」
「そうだよ! 冬にまたあるから、その時に、ね?」
落ち込むクロスに二人は宥める。少しの間宥めてからクロスは顔を上げる。
「二人共、頑張ってください……」
「はい、頑張ります。応援お願いしますね」
「沢山しますよおお」
「ありがとう、クロスくん」
その後は機嫌が戻ったクロスと三人で話し、普通に別れた。
ご飯を済ませ部屋に戻ったアルは風呂場でお湯に浸かりながらぺリアの事を思い出す。
「ミリヤさんに手を出さなければあのまま平穏に過ごせただろうに。馬鹿な人だ」
ちゃぷ……とお湯をすくい、それを見つめる。そして天井を見上げる。
「行方不明という事は、あの死体がぺリアさんだと判明してない。好都合だ」
くすりとアルは笑った。自分に悪い都合が起きず、二人に何の不利益も起きない。平和だ。アルはその場で伸びをした。
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