第29話

 次の日、呼び出した場所でアルはぺリアが来るのを待つ。目を瞑り待っていると人の気配を感じ、アルは目を開く。

 

「アルさん、こんな所になんの用……?」


 ぺリアが手紙を手に困った様子でアルに近づいた。


「実は秘密の話がありまして。呼び出させていただきました」

「えっ……」


 アルの言葉にぺリアは顔を赤らめる。その表情は告白される!? と期待に満ちていた。

 アルは表情を変えず、ぺリアに近づく。そしてそのまま抱きしめる。


「あっ……! 駄目よ、あんたにはミリヤさんが……!」

「そうだな」


 ぺリアが油断している隙に、アルは痺れと自白の注射器をぺリアの首に刺し、流し込む。

 痛みにぺリアは驚き、アルから離れようとしたがすでに遅く、ぺリアの体は痺れ始め、ぺリアは動けずにいた。


「あ、アルさん……!?」

「さて、ゴミ掃除といこうか? まあその前に色々聞くが」


 にっこりと笑うアルにぺリアは顔を青ざめる。


「僕とミリヤさんに手紙を送った理由は?」

「二人の仲を切り裂きたかったの。――え!? な、なんで……!?」

「そうか。なら次」


 言いたくない事が口から出たことにぺリアは動揺するがアルは気にせず質問を続ける。

 何故仲を切り裂きたかった? あの女にアルさんは合わない。うちこそがふさわしい。その根拠は? あの汚らわしい見た目でアルさんに相応しいわけない! 

ぺリアの口から嫉妬の言葉が出てくる。アルはそれを笑顔で問いかけ続ける。

 そうしてアルの質問攻めは続き、満足したアルはぺリアの頭を撫でた。


「答えてくれてありがとう」

「あ、アルさ――」


 ぺリアが怯えた様子でアルの名を呼ぼうとした瞬間、アルはぺリアを影の中に引きずり込む。

 そしてそのまま状況が理解出来てないぺリアの首を短剣で掻っ切った。


「ぁ……」

「さようなら。永遠の夢を」


 アルは冷めた表情で倒れたぺリアを見つめる。そして持っていた手紙を回収してから影の中で夜が来るのを待った。


 夜になったのを確認したアルはぺリアを影で動かし焼却炉まで運ぶ。

 火をつけ、ぺリアと手紙を中に入れ、アルは影の中に入り、その場から去った。


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 次の日、焼却炉で死体が見つかった事で学園内は恐怖に包まれた。

 担任から教えられた事にアルはふぅんと流し聞く。

 その後クロスがアルの元にやってきて耳打ちする。


「アルさん、何かしましたかあ……?」

「何もしていませんよ」

「そうですよねえ……アルさんがこういう事するはずないですよねえ」

「疑わないでください」


 そうですねえ、すみません。とクロスは謝ってからミリヤの元に合流した。

 ミリヤは怯えた様子で「お、おはよう」と挨拶をした。


「ミリヤさん、大丈夫ですか?」

「う、うん……大丈夫。でも……」

「あの話聞いたのですかあ? 怖いですよねえ」

「うん……」

「怖いですね……」


 嘘をつきながらアルはミリヤとクロスと話す。

 証拠は昨日燃やした。だから大丈夫。それに何かあっても親がもみ消してくれる。アルはぺリアの事を思い出しながら二人の会話に参加した。

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