第28話

 手紙の事から数日が経ち、ある日ミリヤが落ち込んだ様子で二人に合流した。泣きそうな表情のミリヤにアルは無表情になる。


「おはよお……」

「…………誰です? 誰がやった?」

「あ、ちが、違うの、大丈夫……」

「アルさん殺気! 殺気仕舞って下さいい! 怖いですよお!?」


 ミリヤが慌てて元気に繕おうとするがアルは無表情でミリヤを見つめる。クロスはアルから出ている殺気に恐怖を感じながら宥める。周りの生徒はアルの殺気に動けず、止まって冷や汗を流していた。


「ミリヤさんが怖がってしまいますよ!」

「っ……それは、駄目……。すみません、取り乱しました」


 クロスの言葉にアルは表情を変え慌てた様子を見せる。アルから出ていた殺気は消え、周りにいた生徒は安心した様子を見せ、また同じような目に合わないようにそそくさとその場から離れた。


「ミリヤさん、何があったのですか」

「えっと……これ見て」


 アルの問いかけにミリヤは鞄から手紙を取り出しアルに渡す。アルは嫌な予感を感じ手紙の内容を見る。


『ミリヤ・ニャメル。今すぐアル様から離れなさい。さもなくば貴方を地獄に落とす』


「なっん……!!」

「うっわあ……誰ですかあこれ書いたの!!」


 クロスは怒り、アルは手紙をぐしゃりと握り絞める。


「これ、掲示ボードに貼ってあったの、友達がもってきてくれたの……」


 私、何も悪い事してないよ……と言葉を続けミリヤは涙を流す。その様子を見てアルはミリヤを抱きしめる。


「ある、くん」

「ミリヤさん、大丈夫です。貴方は地獄に落ちません。僕が守ります。だからこんな手紙に惑わされないでください」

「そうですよお。ミリヤさんにはアルさんという素敵な彼氏がいますからねえ」

「……あはは、まだ彼氏じゃないよお。ありがとう、二人共」


 二人の言葉にミリヤは笑顔を浮かべながら笑う。アルはミリヤから離れ、深呼吸をする。


「この事は忘れて、楽しくお話しましょう?」


 アルはそう少し笑って、二人に言う。内心で仕置きの準備をするか。と思いながら。


「あら……ミリヤさん、どうしたの……?」


 その時、ぺリアが心配そうに三人の元に近づいた。クロスがぺリアに状況説明した後、ぺリアはまあ……と驚いた様子を見せた。


「それは、悲しいね……そうだ! 楽しい話をしよう?」

「うん、ぺリアさんと話したい事あるから、嬉しいなあ」

「あら? そうなの? うちも嬉しいわ」


 そうして四人で時間が来るまで話してから部屋に戻った。

 部屋に戻って消灯が消えた後、アルは影の中に入り掲示ボードに向かう。そこに手紙を張り付ける。宛先はぺリア・リベリア。


「……あの怨みの籠った目、隠せないと思ったか?」


 何が目的でこうしたのか。アルは考えながらその場を離れた。

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