第31話

 決闘祭の日になり、アルはミリヤと会場に来ていた。クロスは一緒に行けず、会場の観客席でいた。

 アルはじっと会場にいる参加者を見る。ティルとキリの姿を見つけ、やっぱりあの二人は来るよな。と思った。


「楽しみだね! 頑張ろう!」

「そうですね。クロスさんにいい姿を見せれるように、頑張りましょう」


 意気込み、二人で笑う。その時ティルとキリが二人に近づいてきた。


「どうも、お二人さん」

「アル様どうも、貴方も出るんだな。」

「ミリヤさんも出るのね」


 ティルは優しく微笑む。


「アル様、ミリヤ様、今日はお互い頑張ろう」

「手加減しないわよ。今度は勝つわ」

「はい。その為にも決闘で成り上がってください」

「貴方もね。ほら、ティル。愛想振りまかないで行くわよ」

「ああ。じゃあまた」

「うん! 二人共頑張ってね!」


 軽く会話してから四人は分かれた。


「またあの二人と戦えるといいなあ」

「僕は御免ですけど。面倒ですし」

「アルくーん。もう! そういう事言わない!」


 しれーっと言うアルにミリヤは少し怒る。アルは本心なんだよな。こういう目玉イベントで原作メインキャラと戦うと絶対何か起こる。と思った。

 だがミリヤにはそれを言う事は出来ない為、すみません。と軽く謝った。

 その後開催式が始まり、呼ばれた生徒達以外は観戦席とは違う場所で待機する事になった。


「始めっ!!!」


 その言葉と笛と共に決闘者の周りに結界が貼られる。外に攻撃が飛ばないようにと、範囲を指定する為だった。

 そして生徒達は次々に動き出し物理攻撃や魔法攻撃を使って行く。結界がある為、被害が行かない事を分かっている生徒達は実力を発揮していた。

 そうして一人、また一人と地に伏せ、一対一になった。どの攻撃を当てるか考え、会場に緊張感が走る。

 そして――片方の生徒が倒れると同時に会場はわああああ!!! と観戦席は熱狂した。

 結界がとれ、怪我をした生徒を担架で運び、待機していた治癒魔法者が傷を治していった。

 ミリヤは先程の決闘に興奮し、アルの肩を揺らした。


「アルくんアルくん! 凄い! 凄いよ! 授業とは違う!!」

「まっ、揺らさないでください。分かった、分かったから」


 アルは揺らされた事で少しの気持ち悪さを感じた。

 そのまま次の生徒達が呼ばれ、決闘場に向かった。

 決闘はトーナメント方式だった。多くの生徒達の中で一番強い組を決めるのが決闘祭の内容だった。

 アル達は最後の方で、ティル達は最初の方だった。まだ戦うには先だな。とアルはトーナメント表をちらりと見て思った。

 そのまま決闘は進んでいき、観戦席とアル達の観戦席は大いに盛り上がった。


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