第32話

 過去の原作知識が戻っている事に決闘祭の途中で気づき、その記憶にアルは役に立たないな……と思った。

 隣に座っているミリヤを見ると、興奮した様子で生徒に「そこ!」「頑張って!」「あー!」と表情をころころと変えながら決闘に興奮していた。

 

「楽しいですか?」

「たのっっしいよ! あー早く戦いたい!!!」

「それはよかったです」


 興奮してるな……とアルは笑顔を浮かべながら、アルを見ないミリヤに対して思う。

 それから視線をミリヤから決闘場に戻し観戦をする。また二組、また二組と戦いが続く。


「ティル&キリ対――――」


 そしてティル達の番が来た。アルはどうせ戦う事になるし、戦い方よく見ておこう。と決闘をじっと見た。

 ティルはキリと話して決闘場に入る。そして二人と戦う相手も決闘場に入る。


「始めっ!!!」


 準備が整ったのを確認した担当者は四人を見てから笛を鳴らした。ピー! と音と結果が貼られると共にティルは自身に上昇魔法をかける。


「『ライジング!』やるぞ!!」

「さあ、動けなくしてあげるわ。『ストーム!』」


 ティルが走り出してからキリは暴風を結界内に作る。

 ごおおお。と音が鳴り相手は風で立っているのもやっとなほどになる。その中でただ一人、ティルだけは風に流される事なく、走って相手の懐に向かう。


「え、なんでティルさんは効いてないの?」

「上昇魔法のおかげでしょうね」


 ミリヤの言葉にアルはそう言う。上昇魔法で体のしぶとさをあげたんだろうな。確かにこれなら戦いは楽になる。考えたな。とアルは二人に関心する。

 ティルはそのまま相手の足を払い倒す。それを見て、ルールにある、地に伏せ、十秒倒れたままだと勝つ事を思い出す。

 そうして相手は倒れ、風で立てない状態で十秒が経ち、ピー! と笛の音が鳴った。


「勝者! ティル&キリ!!」


 笛がなったのを聞いたキリは暴風を解除する。そこにティルが近づきハイタッチをした。

 そのまま二人は決闘場から去った。相手は怪我をしているか確認する為、一度治癒魔法者に見てもらう事になった。


「凄かったねー」

「ですね。よくあんな方法を考えつくものです」

「ね。よーし、私達も頑張ろ!」

「頑張りましょう」


 ティル達の戦いを見て、アルとミリヤは意気込んだ。

 その後決闘は続き、二人の番が近づいてきた。


「次! アル&ミリヤ対――――」


 そうして二人の番が来て二人は立ち上がる。


「よーし! 走って戦うぞー!」

「存分に走ってください」


 ミリヤの言葉にアルは笑い、決闘場に向かった。


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