第33話
決闘場に入りアルは相手を見た。人とエルフ。ティル達と似たような感じで攻撃してくるかもな。とアルは思いつつミリヤに作戦を伝えた。
「では、お願いします」
「うん! 頑張るよ!」
お互い頷いて指定の位置に行く。相手も指定の位置まで行くとピーっと笛が鳴り、辺りは結界に包まれる。
「いっくよー! 『ファステスト!』」
「『ダークネスルーム』『シャドウ』」
ミリヤは素早さの魔法を、アルは一度結界内を暗闇で包んでからミリヤの影の中に入った。
影の中でミリヤの様子を見ながらアルは攻撃力、防御力、素早さの錠剤を噛み砕く。
ミリヤは走り、エルフの生徒に向かって回し蹴りをする。
「ひっ!?」
相手は驚いたまま動けず、ミリヤの攻撃を諸に腹に受け、吹っ飛び気絶する。
そこに一般科の生徒が攻撃をしかけようとミリヤの影に踏み込む。その瞬間アルは影から飛び出て生徒の顔面を殴り飛ばした。
そのまま生徒は吹っ飛び気絶する。笛が鳴り、二人は顔を見合わせる。
「あれ」
「あれ、もう終わり……?」
「もう少し楽しめると思ったのですが」
「あれー……? 力籠めすぎたかな?」
もやもやとした気持ちで二人は決闘場を後にする。背後で気絶した生徒を教員は担架で運んだ。
観戦席に戻るとミリヤはため息を吐いた。
「もうちょっと楽しめると思ったんだけど……」
「残念でしたね。次の方は楽しめるといいですね」
「うん……」
アルの言葉にミリヤは落ち込みながら頷いた。
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「素晴らしいですねえ!!」
アル達とは違う観戦席。クロスは興奮した様子で先程の二人の早い行動に感動していた。
「ミリヤさんで相手の近くまで行って、アルさんは背後からの攻撃に対処……素晴らしいですねえ!!!」
二人共流石ですー! と届かない事が分かっているが、クロスは二人に向かって手を振りながら言った。
手を振っていると二人はクロスに気づいたのか手を振り返した。それにクロスはほっこりとしニコリと頬んだ。
「ああ、この決闘祭に参加できなかった事が悔やまれる……!! 二人と戦いたかったですねえ……」
でも! ここから見るのもまたいい!! とクロスは興奮した様子で次の決闘がまだかまだかと待機した。
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