第35話

「アリア&ミツ対アル&ミリヤ!」

「出番ですね。行きましょう」

「うん! アルくん、頑張ろ!」


 呼ばれた二人は席から立ち、決闘場に向かう。遠くでアリアとミツが決闘場に向かう姿が見え、アルは二人をちらりと見ながら向かった。


「ミリヤさん。これをどうぞ」

「……アルくん、これ何のお薬?」


 アルはミリヤに錠剤を手渡す。渡されたミリヤはなんだろう? と首を傾げていた。


「攻撃増加、防御力増加、素早さ増加の薬です。味は甘くしてるので、噛み砕けます。効果は一時間ほどのを選びました」

「へえー。凄いね。こういうのアルくん出来るんだ……」

「魔法で作ってるだけですよ。だから手順自体は簡単です」

 

 アルの言葉にミリアは錠剤を見つめ、そうなんだ。と呟いた。アルはその様子を見ながら同じ錠剤三つを噛み砕く。

 ミリヤはアルの様子を見てから錠剤を口の中に放り込んで噛み砕く。


「――! 本当だ、甘い! 美味しい!」

「お気に召したようで。では、行きましょう」


 隣で喜ぶミリヤを見ながらアルは待機場所まで移動する。

 遠くの方でアリアとミツが待機場所まで来たのを確認した審判は笛を鳴らす。


「始めっ!」

「火は明かりになりそうだな。だが、そんなもの関係ない。『ダークネスルーム』」


 暗闇空間を作り、二人はアリア達に向かって行く。

 アリアはすぅーっと息を吸い込んで叫ぶ。


「使うと思ったで! でも簡単にはやらせんよ! 『ウォール!!』」


 その言葉と共にアリア達の周りに土の壁が出来る。


「あっ……!」

「残念だけど、この勝負、僕達が貰ったぁ!! 『ファイアー・オブ・バードズ!』」


 壁の向こう側でミツの声が聞こえ、そして鳥の声が聞こえ始める。暗闇が照らされ、見上げるとそこには複数の火の鳥。


「まあ、これが妥当か……でも、これは知らないんじゃないか?」

「『ファステスト!』アルくん!」

「ええ、お任せを」


 魔法がいまだ解除されてないのをいい事にアルはその場から消え去る。そしてアリア達が籠城している場所に入り込む。

 そしてマスクをつけ、痺れ花を取りだす。


「花でも如何?」

「っな!?」


 花が地面に落ちると同時にアルはミリヤの元に戻る。そして暗闇を解除して数秒後、土の壁が崩れ落ちていく。

 そしてその場にいたのは倒れ込んで痺れて動けずにいるアリア達だった。


「ちょ、お、まって、今の、なんや」

「く、そ」


 ピー! と笛が鳴りアリア達の元に担架を持った教員が近づく。

 そのまま二人は担架に乗って運ばれていった。


「楽しいね! アルくん!」

「そうですね」


 ミリヤはわーいと両手を上にあげて喜んでから観戦席に戻った。

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