第26話

 次の日、アルとミリヤはクロスの事を遠くから見ていた。クロスから一応見守っていてほしいと言われた為、二人は遠くから見る事になった。


「クロスくん大丈夫かな」

「大丈夫ですよ。クロスさんなら大丈夫」

「うん……」


 アルの言葉にミリヤは手を胸にもっていき不安な気持ちを抑える。クロスは緊張した様子で周囲を見渡し、ぺリアを来るのを待つ。

 そして少ししてからクロスに近づく獣人が現れた。その人物はクロスに話しかけた。


「あの子がぺリアさん……なのかな?」

「そう見るのがいいでしょうね。それにしても……会話が聞こえませんね。遠すぎましたか」

「後でクロスくんから聞こっかあ……」


 話しながら二人はクロスと獣人を見る。アルは獣人から生えている尻尾からして、犬系の獣人か? と思った。ミリヤは細い尻尾に対し、獣人の尻尾は犬のようにふわふわしていた。

 二人は少ししてから話し、アルとミリヤの方に向かってきた。


「待ってくださりありがとうございますー。組める事になりましたあ!」

「ぺリア・リベリアです。えーと……お二人の名前聞いてもいい?」


 ぺリアは柔らかい笑みを浮かべ二人に問いかける。ぺリアはふわっとした首元までの青髪、そして緑の目をしている容姿をしていた。


「あ、私ミリヤ・ニャメル! 同じ獣人科の生徒だよ!」

「アル・ミリエル。クロスさんと同じ一般科の生徒です。よろしくお願いします」

「よろしくね。うちは、シベリウスさんに会いに来ただけだから、もう行くね……今日はありがとう」


 にこりと微笑みぺリアはその場から離れる。その様子をアルはじっと見つめた。怪しい点は今の所ない……。そもそも疑う事自体可笑しいか……? アルはそう考えた後視線をクロスに戻した。

 クロスは椅子に座ってその場でため息を吐いた。


「よ、よかったああ……断られなくて……本当に」

「よかったね! これでクロスくんも決闘祭に出れるね!」

「ぺリア様とは何を話していたんですか?」

「自己紹介とー、決闘祭に出るか否かですねえ……ぺリアさんは決闘祭に出たい様子でしたので話はスムーズに進みましたあ」


 笑うクロスにミリヤはよかったねー。と釣られて笑う。アルはそんな二人の様子を見て少し笑った。


「でもあんなに大人しそうな子なのに決闘祭にでたいなんて、凄いね」

「戦いたい本能でもあるんでしょうか?」

「ど、どうだろ……私は戦うの好きだけど、周りはどうか分からないから……」


 アルの言葉にミリヤは自信なさげに言う。アルはそんなミリヤを見て「そんなミリヤさんが僕は好きですよ」と言った。するとミリヤは顔を赤らめ、その場で顔を俯かせた。


「お熱いですねえ」

「ううう……」


 クロスはミリヤの様子に笑った。

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