51話

 街に来た三人は色んな店の外観を見ながら話す。


「雑貨店はどこだろう」

「今の場所は料理屋が多いみたいですから、別の場所かもしませんねえ……。それにしても、いい匂いですねえ……お腹が空きます」

「買うか? ただ施設から料理が出るからそこまで食べれないが」

「軽食になりそうなの食べる? お菓子……とか?」


 三人は話しながら街中を歩く。アルはフードを被った状態で二人と話していた。

 そうして店を見ながら歩いていると甘い匂いが三人の周りを漂った。


「この匂い……なんだ?」

「あそこから匂ってくる……行ってみよ!」


 ミリヤは匂いの元を指差す。そこには周りの店とは違いお洒落な外観の店だった。

 三人は店に近づき、上にある看板を見る。

 そこには飴専門店、ミーティア。と書いてあった。


「飴、専門店?」

「あ、見て! 中に色んな飴があるよ!」

「入ってみましょう! 気になりますしねえー」

「だねー」


 店の扉を開けると、カランカランとベルの音が鳴った。

 そして中に入ると甘い匂いが更に濃くなり、ミリヤは「絶対美味しいやつだー!」と喜びの声を上げた。

 店内には色んな種類の飴が置いてあった。絵が描いてある飴や、宝石のように綺麗な色の飴、小瓶に入った飴、果物の飴等が置いてあった。

 三人は飴を見ていると、店の奥から一人の女性が現れた。


「あら、いらっしゃい。ようこそミーティアへ。お気に入りの飴は見つかったかしら?」

「こんにちは! ここ、沢山の飴がありますね! どれもこれも綺麗だし、美味しそうです。それに、この絵が描いてる飴も、果物の飴も、凄い!」


 ミリヤが嬉しそうに女性に話しかける。女性はミリヤの様子に嬉しそうに笑った。


「ありがとう。絵の飴は自信作だからよかったら買って頂戴。果物飴は、暑い所だと溶けてしまうから早めに食べるか、冷やすかするといいわ」

「そうなんですね! 果物の飴……食べたことないから買ってみようかな……? おすすめの飴はありますか?」

「果物飴でおすすめはリンゴ飴ね。それ以外だと、これが好評ね」


 女性はリンゴ飴と水色と黄色の星型の飴が入っている小瓶を持ってくる。


「星の飴。小さいから気軽に食べやすい飴よ」

「綺麗……」


 星の飴を渡されたミリヤは目をキラキラとさせる。


「貴方達は気に入った飴はあるかしら?」

「僕はこれですかぇ……猫の絵が描いてある飴」

「僕は…………これ、ですね」


 クロスは黒猫が描いてある飴を取り、アルは飴を見てから小瓶をとる。小瓶の中には沢山の色の小さな飴玉が入っていた。


「あら! いいわね。他に気に入ったものがあったら買っていって頂戴。……それにしても、貴方達、ここじゃ見ない顔ね? どこから来たの?」

「シルベ学園から来ました。今はこの近くの宿泊施設に泊っています」

「なるほど、あそこから……。街には何を買いにきたの?」

「小瓶を買いに来たんです」

「小瓶? 何に使うの?」

「えっと……これを入れたくて……」


 ミリヤは星の飴を一度近くに置いてから、ポケットから貝殻を取り出し見せる。それを見た女性は「ああ! そういうこと!」と頷いた。


「小瓶なら沢山あるから一つあげるわ」

「え、いいんですか……?」

「いいわよ。その代わり、飴、買って頂戴ね! じゃ、瓶取ってくるから待っててね」


 女性はそう言って店の奥に入って行った。


「またここに来れるか分からないから、食べたいやつ買っておくか? 奢る」

「いいんですかあ?」

「金なら沢山ある……襲撃事件後に、大量のお金が入った財布が届いた。手紙と一緒に」

「手紙にはなんて書いてあったの?」

「『お金送ってなかったから送る。これで友人と遊びなさい』だった」

「す、凄いねアルくんのとこ……じゃあ……お言葉に甘えて……」


 アルの言葉を聞いて二人は飴を選び始めた。アルも飴を選び、三人は腕に抱えれるぐらいの商品を手に持っていた。

 そして女性が店の奥から出て来て小瓶を見せて貰った。その後アル達は飴を買って、小瓶を貰って店を出ていった。


「瓶貰えたから、砂取ってくるか。そろそろ日が暮れてしまうから早く行こう」

「うん。二人共、一緒に来てくれてありがとう」

「思わぬ収穫があったのでいいですよお。ね! アルさん!」

「うん」


 そうして三人は雑談しながら海に向かって、砂をとってから宿泊施設に戻った。


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