第14話
二回目の戦闘交流会の夜。アルは寮から出ていた。すぐに動けるように制服は脱いで黒のノースリーブに短剣と注射器を身に着け目的のものを影の中から探す。
夜だから影内を自由に移動できるアルはすいすいと影の中で進む。視線は外に向けたまま影内を移動する。
「……いたいた」
そして影の中で複数の人の姿を見つけた。魔法で姿を隠しているが、先に気配察知の魔法を使っていたアルからすれば、相手が使う魔法は意味などなかった。
アルは短剣を持ち大将と思わしき人以外を影の中に引きずり込んだ。
「な、なっ……!?」
「おやすみなさい」
影の中ではアル以外は上手く動けず、ただアルが短剣を持って迫って来ている姿しか相手は見えなかった。
アルはすぐに三人の暗殺者の息の根を止める。
「あとで適当な所に捨てるか」
そう呟き暗殺者の大将を見る。まだ三人が消えた事に気づいておらず歩みを進めていた。
アルはそれを影の中から足を引っ張り中に引きずり込んだ。
「ひっ、なん――」
叫び声をあげるより先に影の中に入れアルは注射器を取りだす。
「こんばんは。いい夜ですね。さあ、吐いてもらいますよ」
「な、何だ貴様……!? ここはどこだ!」
「さあ? 今から死ぬ貴方にそれを知る必要がありますか?」
「ふ、ふざけるな!!」
相手は動けないのに気づかずアルに吠える。そしてすぐに体が動かない事に気づき「な、動かん!?」と声を出した。
そこにアルは相手の腕に自白剤を打ち込む。
「あれの為にこれするのいやだな」
思い出すは今日殴り飛ばしたティル。ここにいる暗殺者はティルの殺害を目的としていた。美しいティルの体が欲しい。だがその心は要らない、だから殺せ。校舎を燃やしてその隙にティルを殺そうとしていた暗殺者からアルは聞いた。
「黒髪の一族の中で唯一の白髪赤メッシュで神の贈り物と言われている。それだけで体欲しいものか? 神の幸福を貰えるとでも? あれは神が面白そうだからでああなっただけのただの人間」
アルは原作のティルの事を思い出す。そして今までのティルの事を思い出しアルはいらっとして暗殺者の顔を殴った。
「あいつの行動は正義。僕は一般的に見れば悪の行為。気が合わないのは当たり前か」
呟きながら苛立ちを暗殺者に向ける。最低限喋れるように一回目以外は顔以外を殴る。そして暗殺者がぼろぼろになった所でアルの苛立ちが治まった。
「消したいけど進行的にはいて貰わないと困る。程よく後悔させながら過ごせばいいか……ああ、鬱憤晴らしに付き合ってくれてありがとう。じゃあ尋問を始めようか」
アルはニコリと微笑んだ。
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