第11話
「……懐かしい、夢。マスター、元気だろうか……」
夢から覚めアルは起き上がる。そして朝の準備をしてから部屋から出る。
部屋から出ると大勢の男子生徒が出てくる様子が見えた。その中に昨日記憶を消した二人を見つける。二人は不思議そうにしながら「昨日なにかあったけ?」「さあ……覚えてない」と話していた。
その時アルの目の前にティルが来た。
「アル様、昨日の事で話があるんだが」
「お言葉ですが、知る必要はないと言いましたよね? 話す事はありません。では」
「おい!」
その場から離れようとするアルにティルが腕を掴んで止める。
「何か?」
「っ……いや、何でもない」
目で「殺すぞ」と訴えると、それを感じ取ったティルは視線を逸らし、アルの腕から手を離す。
アルはすぐに優しい笑みを浮かべ「では。また教室で会いましょう」と言って歩く。
その後をティルはじっと見つめた。
アルはミリヤに手を出さなければそこまでしなくてもいいか……? まあ主人公だしそんな事をしないだろう。まあ、邪魔をするなら容赦はしない。と思いつつ教室に向かっていった。
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全ての授業が終わりアルはいつものように交流広間に向かっていると、ふいに不審な人影を見かける。
そしてそれを隠れながら追いかけるキリの姿。アルはじっと見て、何が起こるのか興味が沸いたので、キリの後を追いかける。
向かった先には帽子を被った男性が火魔法を校舎に向かって放とうとしている場面だった。
「貴方、何をしてるの?!」
そこにキリが止めるように声をかけた。男性はキリの存在に気づき振り返る。
「なっ……!」
「貴方、ここの人じゃないわよね、どこから入ったの! 何をするつもり!?」
「くそっ……!」
男性は短剣を取り出し、キリに向かって行く。
アルはその短剣の色が少し違う事に気づき、短剣に毒が盛られている事に気づく。
キリはまだ毒の事に気づかず、更にキリの魔法は暴風。狭い場所で使える魔法ではないので、キリは受け身の体制をとる。
「死ねっ……!」
短剣を振り上げ、切りつけようとした瞬間、アルはキリと男性の間に割り込み足で男性の手を蹴り上げた。
「え、ミリエル……!?」
「殺すなら不意打ちを狙わないとな。ほら、こう……やって。――――『シャドウ』」
アルはその場でとぷんと溶ける。
「なっ――!?」
「あまり使う機会がないこれを打ってみるか」
次の瞬間にはアルは男性の後ろにいて注射器を男性の首にさしていた。たちまち男性の動きは鈍くなり、男性は何が起きてるのか分かっていない様子だった。
「な、あ……?」
「貴方、何したの……」
「痺れ薬ですね。これは一時間ぐらい動けなくなるように作ってあるので、一時間は動けませんよ。ほら、ティラベル様、誰か呼んで来てくれますか?」
「……分かったわ」
キリが去って行くのを見届けてからアルは男性に向き合う。
そしてポケットからマスクを取り出し顔につける。
「『フラワーハピネス、自白花』」
オリジナルの花を作る。白色の花を男性の鼻の近くに置いて匂いを嗅がせる。
「さあ、雇い主諸々話してもらおうか?」
アルはそう言って一つ一つ質問を投げかけていった。
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