第22話
「クロスさん、昨日の話についてですがいいですか? おはようございます」
「おはようございますー……。いいですよお。その前にご飯食べましょう」
アルとクロスの部屋の前に待機し、出てきた所で話しかける。クロスはふぁあと欠伸をした後食堂へ向かい、ご飯を適当にトングで取ってから適当な席に座る。
「それで、何か収穫でもあったんですかあ?」
「ええ、実は――」
アルはキリから聞いた事を全てクロスに話した。それをふんふんとクロスは聞いてから少し後、口を開く。
「あやしーい匂いがしますねえ」
「相手も目的は分かりませんが、手紙の元は分かりましたね」
「ですねえ。それが分かっただけでも前進、ですっ!」
そう話してから二人は食べる事に集中する。その後二人は普通に教室に共に向かった。
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授業が終わりアルが部屋でのんびりとしていると強めの力で扉を叩かれる音がし、アルは急いで扉を開けた。そこには焦った様子のティルが息を切らしてそこに立っていた。
「ティル様? どうしたんですか?」
「アル様、キリを知らないか!?」
「キリ様? 知りませんが、何かあったのですか?」
「キリが、いないんだ、どこにも、探してるのに……!!!」
焦った様子でキリが、キリが! と言うティルにアルは手を引いて中に入れる。
「落ち着いてください」
「でも、でもっ!!」
「落ち着け」
「っ……」
肩に手を置き目を見て落ち着かせる。ティルはその目と言葉に目線を落としゆっくりと呼吸を落ち着かせ、その場に座り込む。
「キリ様に何が?」
「いつもみたいに交流広間に行ったらキリがいなくて、エルフ科の人に聞いたら今日キリは見てないって……それで、俺は、どうしたらいいのか、わからなくて」
俺が行ける範囲では探したのに、何処にもいなくて。とまた呼吸を荒くさせていくティルにアルは落ち着かせながら、アルはまさかこうなるとは。と思った。
アルは視線を動かし、出す言葉に迷う。
「キリがいないと、俺、俺……」
焦る声のティルにアルは、二人の間に何か重要な事があったような……と思い出そうとする。そして思い出せたのは原作でキリがティルに「貴方は普通の人間よ。何処にでもいる普通の。だから何も気にしなくていいんじゃない?」の言葉。
恐らくそのイベントが起きた後なんだろうなと思いつつ、アルはティルに言った。
「貴方とキリ様の間に何があったかは聞きませんが、貴方はまずこの事を教員に話してきてください。僕はその間キリ様を探します」
「俺も探す……!」
「それはあとです。まず捜索人数を増やさなくてはいけません」
「……! た、確かに……分かった。呼んでくる!」
その言葉と共にティルは飛び出していく。アルはティルが出ていった後ため息を吐く。
「嫌な、展開になった」
そう呟きアルは部屋から出てキリを探しに行った。
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