第17話
「ミリヤさんは綺麗な髪色をしてますねえ」
「クロスくんの髪は長いね。それにさらさら……どうやって手入れしてるの?」
交流広間の端でアルとミリヤとクロスは談笑をしていた。特にミリヤとクロスはお互いの事を褒めたりして仲良く話していた。
それに対しアルは幸せな気分になった。初めての友達といずれ手に入れる子が一緒にいる。最初の内にクロスにミリヤには手を出すなと言っていたので、特に問題が起きる事無く日常を過ごしていた。
「実は――」
「――えっ! それだけで……?」
「そうなんですよお。これだけで髪がさらっさらになるのです~」
小声で話しながら二人は髪の事で盛り上がる。きゃっきゃっと嬉しそうに話す二人にアルは微笑ましくなり思わず笑みが零れる。
「それにしてもミリヤさんはクロヒョウと虎からでその綺麗な髪色が出来るのは素晴らしいですねえ……」
「えへへ……これ自慢の髪色なんだ! 太陽みたいってアルくんが言ってくれてね! とっっても自慢の髪色!」
「あああっ!! それは凄くいいっ!! 心がどきどきしてしまいます!」
「クロスくーん!! 落ち着いてー!」
ミリヤの言葉にクロスは胸を抑える。それを落ち着かせるミリヤ。
「ほんっっとうにアルさんと友達になってよかったです……こんな、こんな素晴らしい方と友達になれるなんて……僕の命日はもうすぐ……?」
「不吉な事言わないで!? どれだけ嬉しいの?!」
「たくさん……うれしい……」
「そ、そっかあ! なら仕方ないね!」
二人の騒がしい話を聞きながらアルは広間で買った紅茶を飲み口を開く。
「お二人方は本当に仲良しですね」
「アルくんのおかげだよ! 他の科の生徒と友達になれるなんて思わなかったよ」
「こんなに素晴らしい方と会わせていただきありがとうございます~。本当、感謝ですねえ……」
「そうですか」
「アルくんはどう? 楽しい?」
「ええ、楽しいですよ。これ上のない幸せです」
アルがふにゃりと笑うその姿にミリヤとクロスは嬉しそうに笑う。そして二人でアルの髪をわしゃわしゃとかき乱した。
「わっ、なん、なん!?」
「アルくんありがとう!」
「ありがとうございます~。これはお返しですよお」
「っはは。ありがとう」
思わず素の反応を出してしまったアルに二人は微笑み両側から抱きしめにいった。
それにアルは一瞬思考が停止し、え、え? と声を漏らした。
「あ、あの……?」
「この笑顔、守りたい」
「分かるよ……クロスくん……」
「あ、あの? お二人方? あの、一目が、あの」
アルは周りに見られている事に少しずつ顔を赤らめていくが二人が離れる事はなかった。
そして周りから「姫ポジ……」と呟かれている事にアルは気づかなかった。
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