53話
次の日アル達は海に来ていた。手には水着を入れたバッグを持っていた。
「じゃあ、ここで待ち合わせしましょう〜」
「……僕も着替えないと駄目か? 丸腰は落ち着かないんだが」
「アルくん! 折角の海だよ! 楽しまないと損だよ!」
「そう、か。……一応着替えておく」
軽く話してから三人は更衣室に入っていく。そして着替え、自分以外は触れないように結界魔法を貼る。
「ちょっとアルさん? 持ち過ぎじゃないです?」
クロスがアルの荷物に驚いた様子を見せる。視線の先には錠剤入れや、短剣、何本もの注射器があった。
「これぐらいないと落ち着かない」
「そう、なんですね……? それにしても沢山ありますねぇ。丸腰が落ち着かないのも分かります。ですがアルさんは素手でもなんとかなるのでは? そういう訓練されてると思うのですがぁ」
「されてるけど、武器ありの方がしっくり来てて、あまり素手で戦わない」
「そうなんですねぇ……」
「はい、もういいだろ。ミリヤに虫がついたら危ない。行こう」
そう言ってアルは更衣室から出て待ち合わせの場所まで向かう。
待ち合わせにはミリヤが先にいて、白いフリフリの水着を身に着けていた。
アルはそんなミリヤの姿を見て「かわいい……」と見惚れ、呟いた。
そして駆け足でミリヤに近づき声をかけた。
「ミリヤ!」
「――アルくん! クロスくんも!」
「お待たせしました〜」
「待ってたよ〜! あ、そうだアルくん! これどう? かわいい?!」
水着を分かりやすく見れるようにミリヤはその場でぐるっと回った。
そして後ろに手を回し、太陽のような笑みを浮かべアルに問いかけた。
アルはミリヤの姿を見て、手で顔を覆い、空を見上げた。
そして深呼吸してから、手を離しミリヤを見て、ミリヤの手を優しく掴んでから微笑む。
「可愛い。ミリヤにまた惚れてしまった。愛してる」
「えっ!? えっ、うん! ありがとう!」
アルの愛してるの言葉にミリヤは顔を真っ赤にして照れる。その様子を見てクロスは、すぐ口説いていちゃいちゃしてるお二人さん可愛い〜! と笑顔になった。
ミリヤは照れて恥ずかしがったあと、咳払いをした。
「う、海行こう!? 泳ご!」
「そうだな。泳ごう」
「あ、アルくん? 手離していいんだよ?」
「繋ぎたい。駄目か?」
「んん"う! いいよぉ……!!!」
コテンと首を傾げたアルに、ミリヤは嬉しさと可愛さに少し悶えたあと、頷いた。
そして手を繋いで二人は海に近づいていった。その様子をクロスはニコニコと見ながら、二人の後をついていった。
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