第37話

 決闘は続き三回戦、四回戦、五回戦と決闘は続いていく。

 段々と相手が強くなっていき、アル達は少しつづ苦戦し始めていた。

 決闘時間がのび、作戦の内容も念入りに練るようになっていく。

 観戦席は変わらず歓喜の騒音が決闘場方面の観戦席まで届く。

 それに反比例するかのようにミリヤの顔色は曇っていく。ペリアの事が気がかりのようで、決闘に支障が出始めていた。

 アルはなんとか機嫌を直そうと励ましたりするが、ミリヤは少ししか立ち直らず、アルは困った。

 

 太陽が曇ってしまう。それだけは、それだけは駄目だ。ミリヤさんは笑顔が似合うのに、笑ってほしいだけなのに……とアルはミリヤの対応に右往左往する。

 そうして六回戦が始まる。アル達は二番目に決闘予定だった。


「ミリヤさん、次がティル様とキリ様の決闘ですよ。作戦、練れますか……?」

「あ、うん、練ろう。うん、頑張ろうね」


 いまだに落ち込んだ様子のミリヤにアルは心のざわめきを感じる。

 違う、こんな表情をさせたい訳じゃないのに。アルは焦りを覚え始める。

 どうすれば笑顔に、いつものように戻ってくれる? どうすれば。

 アルの思考がぐるぐると混乱する。


「ティル&キリ対アル&ミリヤ!」

「あ、私達の番だね。行こっか、アルくん」

「そう、ですね」


 そうしてまともに作戦を練れないまま、二人は決闘に呼ばれた。

 アルは一人で対処できるようにと一番効果が強い薬を噛み砕く。

 効果が強い分短期間しか持たない為、短期決戦向きの薬だった。

 今の状態で決闘を長引かせるのはまずい、だからすぐに終わらせないと。アルは段々と焦りで汗が出始める。


 待機場所に向かい、アルは深呼吸をする。大丈夫、大丈夫だと自分に言い聞かせる。


 そして――。


 笛が―― 鳴った。

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