第二章

第24話

「最近アルさん欠伸してないですねえ?」

「そうですね。用事がなくなったので、ぐっすり寝れているので……」

「いい事だね!」


 クロスの言葉にアルは伸びをして返す。あの事件の後暗殺者がめっきり来なくなり、アルの夜に出歩く時間が少なくなっていた。

 クロスとミリヤに事件の事を話し、噂がなくなると思います。と話し、二人は安堵した様子を見せた。そうしていつものように三人で集まって話していた。


「そういえば、そろそろ決闘祭だね! 二人は誰かと組む約束ある?」


 ミリヤはワクワクとした様子で二人に言う。年に二回行われる全学科合わせての決闘祭。二人一組、二体二で戦う決闘は学園の行事の目玉になっていた。


「僕はミリヤさんと組みたいですね。他の方と組ませるなんて……殺してやりたくなります」

「物騒だね!?」


 にっこりと物騒な事を言うアルにミリヤは驚いた様子を見せる。その様子を見ていたクロスは紅茶を飲みながら「お熱いですねえ」とけらけらと笑った。


「クロスくん茶化さないでよー」

「あはは。まあそれはそれで、お二人そろそろ付き合ったらどうなんです? 両想いでしょう?」

「そ、それは……!」


 クロスの言葉にミリヤは顔を赤らめアルを一目見てから視線を逸らした。


「ミリヤさんが好きと言ってくれるまで僕は待ちますから」

「お熱ーい」

「く、クロスくん! もう!」


 けらけらと茶化すクロスにミリヤは怒った様子を見せる。顔を赤らめた状態で怒るミリヤにアルはかわいいな。と笑みが零れた。

 クロスはわざとらしく謝りながら言葉を続けた。


「二人が組むなら僕は他の人と組みましょうかねえ……いい人、いるでしょうか?」

「クロスくんならいい人すぐに見つかるよ!」

「掲示ボードに募集でもかけてみますか? あそこは全学科が見るので一目が多い」

「ありですねえ。貼っておきますかあ。内容考えるの手伝っていただけますかあ?」

「いいよー」


 紅茶を飲みながらクロスは言う。

 その後は三人で掲示ボードに貼る内容を考え、教員に貼る許可を取りに行った。


「いいけど、今掲示ボード貼ってる子多いわよ?」


 その言葉を聞き三人は掲示ボードの前に行くと、そこには大量の紙がボードに貼ってあった。

 内容をみると、決闘祭の勧誘が多く、クロスは「同じ事考えてる人いるんですねえ……」とため息を吐いた。

 

「見やすい部分は埋まっているので……空いてるここですかねえ……見てくれる人がいればいいですがあ」


 クロスはぺたぺたとボードに勧誘の紙を貼ってふうとため息を吐く。その後三人はその場で解散し、その日は特に何もなく一日が終わった。

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