第31話 想像外の力

「ミスティ!! 目が覚めたかぁ!! 良かったよかった!」


「痛いよぉ。センス……」


「おお。ごめんごめん」


 抱きつくセンスを見ながら、ルールウがミスティに言葉の意味を聞いた。


「ミスティさん。さっき、【レオリス】さんって言ってたけど、知ってるの?」


 その問いに、センスに抱きつかれたままのミスティは、顔を向けて答えてくれた。

 

「えっとね……。私が神天界にいた時に、師匠と一緒に、ラフィサリウス様に会う機会があったの……。その時の会話の中にそのレオリスさんが出てきた様な気がするんだよ……。なんか、『私の死んだ妹が拾ってきた……』とか何とかってラフィサリウス様が……」


「なんか、関係がありそうだね……」


 その会話にアークが割り込むように、──その話も重要だと思うけど、早くハルアを追いかけてもらえないか? とセンスに伝えた。


 ミスティが意識を取り戻した事に気を取られていたセンスは、──そうだな! すぐに向かう!! と言い一歩踏み出したその時────



「──まぁた、こんなにうじゃうじゃと現れやがって……。ぶっ倒れてるガキも、そこの凍ってる女も地面にめり込んでる男も、役に立たないなァァア……。まぁ、試作品の魔玉がどのくらい使えるか確認できただけましか……」



 突如として現れたその人物を見たアーク達は、目を見開き驚愕していた。


 そいつは幼馴染が命をかけて引き寄せてくれていたはずだった……なのに────


「何でお前がいるんだ!!」


 アークが叫ぶと、狼の獣幻の男は「──なぜと言われても俺は最初からあのガキをからなァ」男はひと言そう告げた。


 その言葉に、疑問をぶつけたのはルールウだった。


「どういう事!? あなたは確かにハルアを追いかけて行ったじゃない!」


 リメルといいミスティも自分達もちゃんと確認したという表情で、男を見ていた。だが、鼻で笑う様に返してきた。


「お前らが見ていたのは幻覚だ。俺の魔法のな……」

「いつ魔法を掛けたんだ……」


 アークがそう言うと、男は「──やっぱり分からないのかぁ?」と言い馬鹿にした様に話した。


「そこのが気付いただろ? とな……。その魔生を時にはお前らは幻覚に掛かってたんだよ。俺はその辺りで見物してたさ。本当に敵を分断できたとでも思ったのかァ? 笑えるぞ。それに、引き付けたあのガキの真に迫った表情は爆笑だったぞッ!! ハハハハハッ!! それにあのガキが俺の用意した人造魔生アーシャルから逃げられるわけないのによォォォォ!! もうとっくに死んでやがるに決まってるゼ!!」


 聞いたことのないアーシャルという言葉も気にならないほどにアーク達が、怒りの声を上げようとしたそれより先に、センスが怒鳴り声を上げた。


「お前ェェェェーーーー!! 仲間のことを考えてした行動を笑いやがったな!! オレがお前をぶち殺す!!」


 そう叫び! 攻撃を仕掛けようとした時、フィアとアミザがセンスを止めた。


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