第45話 響く声
するとラシリアは神聖魔法を編み始めると、変異体の最後となる言葉を言ったのだった。
「──
言葉と同時に、変異体の周囲の空間を囲むように罅が走り全てを覆った。
その空間は一気に収縮し弾けるように音を立て、そこには無と化した空間があるだけであった。
「一瞬じゃねーか──、何だよ、あのラシリアの魔法は……」
「あれがラシリアのちょっとした本気だよ。アイツの潜在能力は俺を遥かに上回るからな」
ハルアの言葉に対してレオリスはラシリアの持つ本来の力を伝えていた。
そして、それを高みの見物をしていたデルトは感心するように呟いていた。
「へぇ〜……。なかなかやるじゃないか……。ああも容易くあしらわれるとはね。まぁ今回は見物ってことでこのくらいで帰るとするかなぁ〜……」
この瞬間! デルトがいた木が瞬時に消滅した!
次にはその顔面に強烈な蹴りをくらい、地響きとともに地面に叩きつけられていた。
「──ッ!? ぐァ!!」
「みーつけた!」
笑みを浮かべ言うと、距離を置き着地した。
「君さぁ。あの変異体が倒された時ちょっと動揺して隠蔽が乱れてたよね……。あんだけ上手く隠してたから、ちょっとの動揺ですぐに分かるわよ」
デルトは全身のダメージを庇い、ラシリアを見据えながら深い疑問を口にした。
「──お前は何だ!? 強力な神力を使い剣にその身を変える奴なんて……」
「あら、あなたも剣に変えてるじゃない? 私こそ聞きたいわよ。何であなたも剣に姿を変えられるのかってね。この魔法は私が使う創世魔法を使って編み出してるのよ? なのに、同じように剣になるなんてどういうことかしら?」
それを聞いたデルトは何かを思い出したかのように口を開いた。
「聞いたことあるぞ! ラシリアと言ったな! お前は三千年前に滅んだ
「知ってたの? 私のこと。でも私はあなたのことは知らないわ」
この淡々とした言いにデルトは歯を噛み締めながら言った。
「なぜ三千年前に滅びたはずの奴がここにいるのだ……。
「それが誰か気になるけど、まぁいいわ。今からあなたを潰そうと思うけど、何か言い残した事ある?」
そう言葉を放ったラシリアは指を鳴らした。
するとデルトの両手両足を光の輪が拘束具となりその動きを止めさせていた。
(!?……くそッ! 周囲を固定された……。ここまでか……。この力の差は絶望的だね。姉上に報告できなかったな……)
デルトは覚悟を決め、最後の一瞬までラシリアを睨みつけていた。だがのこの覚悟は無用の物となるのであった。
《──デルト。お前に監視魔を付けていて正解だったよ。お前は色々飛び回っているからなぁ。何かを掴んでくれるんじゃないかと思っていたよ》
この言葉はがデルトの頭に響いたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます