俺の能力特性は女神〈仮〉てなに⁉️
ハクアイル
プロローグ
この世界は……というよりも、生きている人間の殆どは自分の思い通りにいかないことが多い……。
自分が思い描く理想と現実の差に嫌にもなる。
あーなりたかったとか、こーなりたいとか色々あると思うんだ……。
だけど、どれだけの人間が理想を叶えられるのかも分からない。
だからといって諦めたくないのも事実なんだけど……。
────俺もその内に数えられる一人だ。
現在、頭を抱え、身をもって感じている最中……。
汗が止まらない……
暑いわけじゃない……
背中に刺さる視線が痛い──
半円状の教室で先頭に座っている俺は見下ろされる形でもろにダメージを受けている。羨望や尊敬の眼差しならまだいい。
だけど、20人程のそれは限りなく冷たいものと、興奮気味のものに分かれている。
男女半々の教室で女子からはケダモノを見る目、男子からは下心の目を一同に集めていた。
それもそのはずだ──
何せ俺の右隣には辛うじて肌が透けない程度の湿り気を帯びた、バスタオルだけを巻いた少女が座っているからだ……。
肩まで伸びたウェーブ掛かった栗色の髪をしっとりと濡らし、俯いた顔には大粒の涙を溜めては流しを繰り返し、下唇を噛み締め、必死に羞恥に耐え、自らの境遇を嘆いている様に見える……。
この状況のせいで、周囲からは聞きたくもないひそひそが聞こえる。
「変態……」「エッロ!!」「なんでバスタオルだけなの……?」「なんかお風呂から上がったばかりだったみたいだぜ」「狙ってたんじゃね?」
だけど、俺は言いた……この状況を好んで作ったわけじゃない!!
大体そんな事をする意味がないし出来ない!
そもそも自分の運命を左右するものなんだから……。
「……なんで……こうなった……俺の現実はこれなのか……」
「うっ……ぐすっ……ううっ……」
(……頼むからもう泣かないでくれ……俺も泣きたくなる)
見かねた教官は俺と少女を励ますかの様に言葉を掛けてくれた。
だけど、それは、俺にとっても少女にとっても現実を受け入れるとともに、不安しかないものとなった。
「お前はすごいぞ! なんたって一生に一回の召喚で神様を召喚したんだから。それに女神さんもその若さで神様してるんだから……なっ!」
「……やっぱり一生に一回なんだよな……」
「……ううっ……まだ女神じゃないもん……見習いになったばかりだもん……ぐすっ……」
教官は自分の言葉が足りなかった事を感じたのか「まぁ……応援してるよ……」と囁く様に言ってきた……。
世界はやっぱ人間に厳しい……というか神様〈見習い〉にも……。
たった2時間前まではここまで落ち込むとは思わなかったよ。
女神……じゃなくて見習い女神もこんな事になるとは思ってもみなかったんだろうな……。
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