第40話 回路の構築──そして双丘……

「何で私だと? 隣にハルアこのこもいるけど? 彼かもしれないわよ?」


 冗談ぽく言ってみたが、鼻で笑われ一蹴されていた。



「そいつの訳がなかろう。そのガキは自分がまともに戦えないからと、仲間からわざわざ離れた奴だぞ。死んでいると思っていたが、それもお前が助けたんだろう?」



「そうね……でも、今からは本当に彼があなたの相手をするけどね」



「くっクック……。面白いことを言うな。そこの雑魚ゴミがやるだと? まぁ俺は構わんがなぁ!」


 ハルアを見下しながら、不気味な笑みを浮かべ、地面へと降りてきた。 それから目を離さず、ラシリアはハルアに向けて──



「私の体に触れなさい……それで【ラシエル】と言いなさい」


「どう言う意味だよ? ラシエルって何だよ?」


「いいから。早くしないとあっちは待ってくれないわよ?」


「分かったよ……。それじゃあ──」



 そう言うと、ハルアはそのままにまっすぐ手を伸ばしていた。



「そのまま手を伸ばしたらぶん殴るわよ……」


 ハルアはその言葉に何気なく伸ばした手を見ると、そこには綺麗な双丘が待ち構えていた。


 見る限り、Cカップはあると思われる胸があった。


 慌てて手を引っ込めようとし、「──違うからな! 別に触れようとした訳じゃないからな!」と言ってみたが、言い訳にしか聞こえない。


 それを言い終わる時には、2人に攻撃を仕掛けようとゴリラの人造魔生アーシャルを出現させていたのだ。



 それを確認したラシリアは──



「──早く私に触れなさい! まだあなたとの間に私を使う回路が出来てないから、あなたから触れて私を呼んでそれに応えないといけないの!」

 

 手にでも触れればいいのだが、この状況のせいで考えが落ち着かない。

 中々ハルアが触れない事に痺れを切らしたラシリアはため息を吐き言った。



「時間がないからそのまま手を伸ばしていいから! 早く触れて呼びなさい! でも、終わった後にぶん殴るからね!」



 そう言っているが、ハルアは目の前の、恐らく柔らかいであろう双丘に向けて、手を伸ばすか決めあぐねていた。


 だが、この間も確実に距離を詰めてきている人造魔生アーシャルの姿があった。


 もう迷う時間も無くなり、ラシリアの言った通り、そのまま手を伸ばして触れると……この状況で不謹慎だがハルア思うしかなかった────




 ──ふわっと柔らかい…………。と──



 ラシリアに視線を向ける……



 ──ラシリアの目は……笑っていない……



 後からどれほど強力な『ぶん殴る』が襲うか……

 それをなるべく気にしないように、言われた言葉を言った。



「──【ラシエル】──!!」



 その瞬間!! ラシリアが光に包まれるとその形を変えていた。

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