第23話
某ドッキリテレビを眺めながら、急に暗殺者が俺の方を向く。そして手を膝を上に置いて、少し恥ずかしそうに切り出す。
「あとさ.......私の事を暗殺者って呼ぶのそろそろやめない?」
そんなふうに言ってくる。そういや俺は暗殺者のことを暗殺者としか、呼んだことがなかった気がする。
「さすがに外で暗殺者って言うのはないと思うし、先生みたいな感じのいい職業でもないんだからさ」
「それもそうだけど、だって名前、教えてくれないだろ?」
俺がそう言うと、目の前においてあったコーヒーを一口で飲み干して、俺に顔を近づけて話す。
「そもそも聞かれてないし!あと勘違いして欲しくないけど、別によんで欲しいとかじゃないから」
「はいはい。で、暗殺者ちゃんの名前は?」
俺がそう聞くと、少し恥ずかしそうに俺から目を逸らして、つぶやくようにして名前を言う。
「.......
「志乃ちゃん、か」
俺がそうつぶやくと元気なく、はらりと笑う暗殺者もとい、志乃ちゃん。そして付け足すようにして相当なこと言う。
「そ。上の名前はない。気づいた時にはみんなが私をそう呼んでた。呼んでくれるのは一部の人だけだけど……」
「上の名前はないって.......」
「まぁ想像通りだよ。親が分からないから付けようがないの」
志乃ちゃんは力なく笑った。そしてまた寂しそうに自分のことを卑下する。
「それにさ、志乃って死のうって言う意味がいつも付きまとうから嫌いなんだよね.......それに誰がつけたか分からないしさ」
そんなことを呟く志乃ちゃん。また遠くを見て、苦しそうに笑う。そんな姿にいてもいられなくなった俺はぎゅっと彼女の肩を掴んで叫ぶ。
「志乃、志乃、志乃、志乃!」
「ど、どうしたの?急に!狂ったの?元々だけどさ」
あわあわと慌てふためく志乃。急に肩を掴まれて叫ばれたら誰だって、そうなる。そして俺は何度目か分からない告白をする。
「志乃って言う名前、俺は大好きだ」
「.......」
湯気が出そうになるくらい顔を赤くして、狼狽える。そんな志乃ちゃんに続けて言葉を贈る。
「俺がこれから1番、志乃ちゃんの名前を呼ぶからさ、志乃っていう名前に誇りを持って。俺の苗字の相模を貰うんだからさ?」
俺がそう言うと、志乃ちゃんは少し黙りこくってから、小さく頷いた。そして顔を真っ赤にして否定の言葉を入れる。
「違うから!べ、別に相模志乃っていい名前だとか思ってないから!」
「可愛いなぁ、志乃ちゃんは」
「だからぁ!?」
そう言って、俺の方をポカポカと叩く志乃ちゃんは、とっても可愛い笑みを浮かべていた。少しでも名前を好きになってくれたのなら良かったと思う。
♣♣
星が欲しい。
もうちょっと付け足すかもです。
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