第12話
俺は冷蔵庫に入れていたキンキンに冷えたビールを取り出した。そのままスキップをしながら暗殺者の元へと向かう。
「暗殺者!お酒を飲もう」
俺がそう言うと半分呆れている暗殺者。そういや暗殺者って何歳なんだろ。お酒は飲める年齢なのだろうか。
見た目は女子高校生くらいだが、溢れ出る色気はもう20代。30代になると、俺より年上だしな。ちなみに俺の年齢は20歳だよ。
「暗殺者って何歳?」
「多分、19歳」
「じゃあ、お酒は無理かぁ……」
ていうか、年下だったのか。今までの行動を少しだけ反省した。そしてまたすぐに忘れた。俺がお酒が飲めないことを落胆したように言うと、暗殺者は反抗するように口を開く。
「お酒ぐらい飲める。相模が飲めるのに、私が飲めないのは癪に障る」
「それはダメだ。年齢が普通にダメって言うのもあるけど、俺の子供を安全に産めなくなるかもだろ?将来の嫁さんが悪くなるようなことはしたくない」
「なんで私と相模が子供を作る前提で話してるの。でも、無理してお酒を飲むことはない……かも」
暗殺者が理解がいい子でよかった。あと1年待ったら、一緒にお酒も飲める年齢になるのか。しかし、お酒を俺が飲んでいるのに暗殺者が何も飲めないのは少し寂しい気もする。
「それがいいと思うぞ。代わりにといってはなんだが、好きな飲み物を飲ませてあげよう!」
「へぇ……じゃあカ〇ピスかな」
「え、下ネタ?って、おいコラッ」
俺がズボンを下ろす素振りを見せると、必死でそれを止めに入る暗殺者。
お酒を飲んだのかと言うくらい真っ赤なかおをして、息を切らしている。
冗談にいちいち本気で反応してくれるのが、可愛くてもっといじめたくなる。好きな子に意地悪をしたくなるのは男の子の性だから仕方ない。
「冗談だって。でもそろそろ慣れて貰わないと。ベッドの上でどうせ見ることになるんだから」
「じゃあ私は一生、処女でいい」
そう言ってぷいっ、とそっぽを向いてしまった。
「それは俺が許さん。というかそろそろ俺に堕ちてもいい頃なんだけどなぁ」
「まだ二日とちょっとだけ」
「二日でここまできてたのか。2週間後くらいには結婚式かな」
「いえ、2週間後くらいにはあなたは棺桶の中ですよ♡」
「うわぁ、色っぽい……」
棒読みで恐怖の言葉を感想を言うと、ふふふ、となんとも言えない笑みを、暗殺者は浮かべていた。
「笑っている暗殺者は可愛いなぁ。俺の横でずっと笑っていて欲しい」
「……相模が死ぬ時は横で笑っていてあげる。高笑いしてあげる」
「ありがとう。俺が老いて死ぬ時に嫌な思いしないために、最高の苦笑いをしてくれるんだな。最高の嫁さんだよ」
「そういうことじゃないって!」
俺がそう言って、笑いかけてやると小さい子供のように怒っている。
「だから、私が息の根を止めてやるって言ってるの」
「首絞めプレイか。それは少々、しんどいかもな。俺はマゾじゃないし。けど、暗殺者が俺との行為に意欲的な態度があるのは分かった」
「だから、そんな簡単にそういうことを……」
ピュアピュアな暗殺者は口をすぼめて、ふにゃふにゃ言っている。そんな可愛い暗殺者のためにカルピスを二人分用意しに行くのであった。
♣♣
星が欲しい。
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