第11話

俺と暗殺者はたこ焼きを食べることにした。暗殺者の発言は、もう少し俺のそばにいてくれるみたいだから、安心して虐め倒してやろう。そう思わせてくれました。


たこ焼きとにらめっこをしている暗殺者に、俺はアドバイスをくれてやる。俺はいつも真面目なんだが、今回に至っては本当に真面目な顔で


「たこ焼きの食べ方は一口で食べるのが、通な食べ方だぞ?」

「この熱いのを一口で……。大阪人はすごい人たち」

「ちなみにふぅふぅーも禁止だぞ?素材そのものの味を楽しめないからな」

「へぇ、そうなのか」


もちろん嘘です。少し冷まさないと舌が死にます。こんなに簡単に嘘に引っかかるなんて、悪い人に騙されないか、心配だわ……。


俺が暗殺者の親になった気分で、眺めているとたこ焼きを一口で頬張る暗殺者の姿が目撃された。


口に入れた瞬間に心からの爆笑が俺をさらった。口に入れた瞬間に、顔を赤くして暗殺者は悶えていた。


「あっ///こんなのダメっ///はふぅっ」


顔を真っ赤にして、喘ぐ暗殺者。俺はいたたまれない気持ちになった。なんというか、ただたこ焼きを食べてるだけなのにエロい。


甘噛みしているたこ焼きを口移しして欲しいと思いながら、俺はたこ焼きを箸でパカッと割って、息をふきかけて冷ましながら食べた。


その姿を見て、目を丸くしている暗殺者。舌を水で冷やしながら、こちらを睨んでくる。


「相模……私を騙したの」

「エロい姿、ご馳走様でした。あの喘ぎ声はベッドの上でも頼みます」

「絶対に許さないんだかはぁ!?……あっちゅい!?」


暗殺者の言葉を遮ったのは、熱々のたこ焼きでした。再び悶えている暗殺者。その姿をオカズにたこ焼きを食べていく。これこそ、通な食べ方だなぁ。僕はそう思いました。


「1度じゃ飽き足らず2度までも。絶対に殺してやる」


そう意気込んでいる暗殺者に右足が治ったことを報告してやる。


「右足は完治したし、いつでも臨戦態勢だ。かかってきなさい。」

「私は負ける勝負は好んでしないタイプなの。そもそも右足が治るの早すぎ。だまし討ちなら勝てるかもね」

「あぁ……いつでもまっているよ。俺は元最強だからな」


暗殺者は初心な人だった。前までのくだりが下ネタすぎて、忘れてたけど。強気な人が屈服する姿が1番萌える。間違いない。


「相模は現役バリバリ。普通の人は私を倒すことは出来ない」

「そりゃどーも」


俺を若干過大評価してくれている暗殺者に、感謝の意を伝える。そんなくだらない会話を続けていると、ふと疑問に思ったのか、素朴な質問をする。


「あと、なんでたこ焼きなのにタコ以外が入ってるの?」

「それがタコパの楽しみ方なのだ!ほら、たこ焼きができたぞ?」


丸くて可愛いたこ焼きを暗殺者に近づけると、怯えるようにして顔を背けてしまう暗殺者。そしてペロッと舌を出すと、少し不満そうに俺に言った。


「熱いのはもう嫌……。舌がやけどしちゃう」

「もし舌がやけどしたら、ディープキスでもして治そうか」

「もっと悪くなる。私は絶対に相模とキスなんかしない」


そう言ってフラグを立ててくれる暗殺者。そんな暗殺者にたこ焼きを近づけると、後ずさりする。


なので俺はたこ焼きを皿において、たこ焼きを割ってから出してやった。暗殺者は自分の舌で熱くないかを確認してから、たこ焼きを口に放りこんだ。


「たこ焼き、美味しい……」

「だろ?」

「うん!」


たこ焼き1つで満面の笑みになった暗殺者。軽い人だと思いつつも、その笑顔で心を動かされている俺もまた軽い男である。


♣♣

星が欲しい。あとラブコメ部門日間1位取らせて頂きました!ありがとうございます!

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