第25話
歯磨きなど寝る用意はバッチリとして、いつでも寝られるように準備をしておく。ソファに全体重を預けて、欠伸を噛み締めるようにして目から涙を流す。
今日も平和なニュースを半分、寝かけながら流し見をする。もちろん、睡魔による攻撃は横にいる美少女も例外ではない。
「さすがにもう眠くなってきた、相模.......」
そう言って、手で口を抑えるようにして欠伸をする。可愛いなぁと思って見ていたら、あわあわと恥ずかしそうに目をぷいっと逸らす。
緊張感がなくなってきたことはいいことだなと自分の努力を称えるために縦に首をふる。
「そりゃ昨日はほとんど寝てないだろ?片意地はってたから。どうだ?ベッドで寝る決意はできたか?」
「手を出さないって言うなら、寝てあげないこともないというかぁ.......」
「じゃあ寝よう!今すぐ寝よう!」
そう言って、眠そうにしている志乃ちゃんの手を取る。眠たいのかあまり抵抗をしてこない。俺のなすがままにされている志乃ちゃんは幼児化しているようだった。
「べっどだぁ!えいっ!」
そういうと、ぴょんと飛び跳ねてベッドに飛び込む。コロコロとベットの上を転がるとニコニコとこちらに笑みを向ける。
「もふもふ、相模!こんなお布団久しぶり」
「まぁいつも寝てるから俺はあまり、ありがたみを感じられないんだけどな?」
「これは土下座してひれ伏すレベルだよ。すぐにでも寝ちゃいそう。早く電気を消して」
そう言って掛け布団にくるまっている志乃ちゃんから命令が飛ぶ。残念ながら、パジャマ姿の志乃ちゃんを見るのは、電気が消えてしまうのでこれで見納めのようだ。
まぁ、パジャマって言っても俺の服を着ているだけなんだけど。今度はちゃんとした服を買いに連れにいってあげよう。
「寝る前にもう少しイチャイチャしなくていいの?」
「バカな相模はそのままの雰囲気でやることやろうとしてるでしょ?えっち、なんだから」
「バレたかぁ、じゃあ電気消すぞ」
俺はパチッと、電気を消す。志乃ちゃんは馬鹿だ。暗闇は俺のフィールド。どれだけ暗闇の世界で戦ってきたと思うんだよ。
電気があろうとなかろうと、ほとんど見える。目が使えなくなった無防備な志乃ちゃんを好き放題してやる。
俺は忍者歩きで志乃ちゃんに近づいて、手を取ろうとするが、伸ばした手はパシンと弾かれてしまった。
「私も暗闇は得意だったよ?残念だね」
「.......別に。何もしようとしてないし」
「そう?じゃあ、おやすみ」
そう言って、目をつぶる志乃ちゃんが待つベッドに体を滑り込ませる。いつもとは違い、温かさを持つ布団に、軽く感動を覚える。
ベットの中で耳に向かって囁く志乃ちゃん。
「手、繋ぐ?相模」
「繋ごっか。おちつくか?」
「まぁ、そこそこかな」
「そっか。少しだけ、話そっか」
「寝るまでだよ?」
俺たちは修学旅行の夜のように、夜更かしに明け暮れるのだった。
♣♣
星が欲しい。
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