第24話
恥ずかしさを誤魔化すためかコーヒーを一気飲みしてしまった志乃ちゃんが寂しそうにコップを眺めていたので、冷蔵庫に冷やされてあったオレンジジュースを入れてあげると、少し嬉しそうな顔になった。
俺は志乃ちゃんの機嫌を少しとってから、これからの生活に大きく支障がでる寝室問題に移ろうと思います。
「でさ、志乃ちゃん?寝室なんだけどさ、部屋が少なくってベッドがひとつしかないのも、あって一緒に寝ないと行けないことになるんだけど」
嬉しそうにオレンジジュースをちびちびと大切そうに飲んでいた志乃ちゃんは、驚いてグビっと飲んでしまう。
「ご、ごほっ!え、え!?ダブルベット1つってこと?それはど、どうなの?」
「そもそもダブルベット買ったのは将来のお嫁さんのためだったし。だって志乃ちゃんは俺の彼女だし」
「そ、そうだけど.......そうなんだけどさ?」
そう言って、くるくると周りを見渡す志乃ちゃん。そしてひとつ頷くと、今俺たちが座っているソファを指さした。
「ソファで私が寝る」
「それは志乃ちゃんが可哀想だ」
「じゃあ相模が寝てくれるの?」
そう言ってぎゅっと距離を縮めてくる志乃ちゃん。上目遣いでうるうると懇願してくる。確実に俺の扱いを理解してきたらしい。危うく、首を縦にふってしまうところだった。
「だから、一緒にベッドで寝ようって言ってるだろ?俺と寝るのは嫌なのか?」
「だって.......一緒に寝たらそういうことするじゃん!絶対に襲われるから」
そう言って、モジモジと指先を遊ばせる志乃ちゃん。そんな姿を今にでも襲ってしまいたい衝動が抑えられなくなる。
「え?逆に襲っちゃいけないの?もう俺はいけるものだと」
誤魔化すのも違うと思ったし、正直に話してみる。俺が言った後にみるみると志乃ちゃんの顔が赤くなる。
志乃ちゃんはオレンジジュースを少し口に含むと、ゴクリと飲み込んでから恥じらうようにして言葉を口にする。
その言葉には少し緊張感がのっていて、謎の敬語になっていた。
「そういうのはもうちょっと段階を踏んでからですね?いきなり本番じゃなくて、ハグとか、キスとかから.......なんて!?な、なに言ってるんだろ!?」
そう言ってクッションに顔を埋めてしまう志乃ちゃん。そんな尊い瞬間に立ち会えただけでも死んでもいいと思ってしまう。
クッションに顔を埋めている志乃ちゃんに、笑いながら声をかける。
「志乃ちゃんはピュアだからなぁ。そうだよな、すぐにっていうのはダメだよな。じゃあさ、ちゃんと段階踏むからさ、クッションじゃなくて俺の胸を使わない?」
俺が頬をかきながら、志乃ちゃんにつぶやく。クッションから少し覗くように、目を出した志乃ちゃんは、ため息をついて嬉しそうに呟く。
「仕方ないなぁ。従ってあげる」
そう言って、ソファの上で長いハグを交わした。志乃ちゃんは暖かくて、ずっとこのままでいたいくらいだった。胸の内から幸せが溢れてしまうような。
もう死んでもいいや、本当にそう思った。
♣♣
星が欲しい。
ピュアな志乃ちゃんなんで、そういうことを期待している人達は待ってくださいね笑
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