第42話
「暗殺者ちゃ~ん!」
廊下の先の方から私の職業を呼ぶ声が聞こえる。この声は相模から師匠と呼ばれている人である。
住谷さんはお風呂から上がったところのようで体にバスローブを巻き付けている。どことなくエロスが溢れ出ている。
そして私は自分の胸に手を当ててみるが、そこには平原が広がっていた。少ししょんぼりしたが、女の子はそこだけが魅力じゃないと言い聞かせることで、立ち直った。
バスローブを片手で抑えながら、こちらニコニコしながらよってくる。私は思わず声をかけてしまう。
「住谷さん、私に話ってなにか用ですか?」
「あ、そんな警戒しなくても何もしないよ。信用出来ないならこのバスローブを脱いで全裸でお話しようか?」
「や、やめてください。それは私の理性が持たないです」
住谷さんにはさっき話した時とは違うオーラが出ていた。まるで別人のような。何故か私は心底、彼女のことを信用してしまったのだ。
「恥ずかしがらなくても。私が脱ぐなら暗殺者ちゃんにも脱いでもらうからさ」
「普通にお話しましょう」
「お、そうだね。じゃあこの空き部屋にしよっか。どうせ1週間くらいは私の部屋になるし」
そう言って招き入れられた場所は、何も無い寝袋のみ用意された場所だった。無の空間というか、部屋とは到底、呼べなかった。
「部屋にものを置いていると落ち着かない質でね。適当にそこら辺に座って」
そう言ってあぐらをかいて座っている住谷さんの前に座る。私の目を見てクスッと笑ってから話し始めた。
「よぉーし、早速本題に入ろうか」
住谷さんは大きく深呼吸をすると私に向かってこう言った。それは心の底から出たもののようで。
「私は相模くんが好きだ。もう誤魔化さない。正真正銘、彼のことが大好きなんだ」
「は、はぁ……」
「へ?そ、それだけ?」
私の拍子抜けた態度に混乱を隠そうとしない住谷さん。私は元々、住谷さんが本気で好きなんだろうということは気づいていたから。
「だからライバルになるね。まぁ、私には勝ち目はないと思うけどさ」
「そんなことないです。私なんて、おっぱい小さいし可愛くないし……」
「私は暗殺者ちゃん、大好きだよぉぉ!」
そう言って住谷さんは私に向かってダイブをしてきた。柔らかいお胸が私の顔に当たる。お風呂上がりのいい香りが私の鼻をくすぐる。
おかしくなっちゃう……。
「ごめんね。強く当たっちゃって。暗殺者ちゃんが相模くんのことを騙そうとしてるのかと思っちゃって」
「あはは……」
ハニートラップを仕掛けようとしたことがあったので、若干引き攣った笑いになってしまうけど許して欲しい。
「暗殺者ちゃん。私のことはスミちゃんって呼んでいいからねぇー!私も志乃ちゃんって呼んでいい?」
「スミちゃん……ですね」
「はい!スミちゃんでーす!これからよろしくね」
「こちらこそです。それより私、もうそろそろやばいです……」
そう言うと私は柔らかいスミちゃんの体を抱きしめ返していた。そんなことをしていると後ろのドアが開く。
そこには私の見知った男がいた。
「誰かここにいるのか?……なんかすみません」
「相模くんも混ざる?」
そんなふうに誘うスミちゃん。そんな冗談にまじの顔で答える相模。顔を赤くして、私たちから目を逸らして言った。
「……遠慮しときます」
そう言って静かにドアを閉めた。パッと私の服を見るとじゃれている間に服がはだけて、エッチな姿に変わっていた。
「ありゃ、けいすけの夜は長いだろうね……」
そう言って高笑いするスミちゃんを見ながら、私もおかしくなって笑ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます