第33話
大きな声と若い少年少女の声が響き渡る賑やかな場所。様々なところで笑い声が聞こえてくる。
俺も高校に通っていたら友達とここにでも来ていたのだろうか?
「ここがゲームセンター!一度行ってみたかったの」
そう言って子供のように、はしゃぐ志乃ちゃん。時々見せる幼さが、彼女の可愛さを加速させる。
これじゃ本当の彼女みたいだ。
それにしても、あの時言ってくれた私の彼氏だからって言葉。志乃ちゃんなりの、嘘なのだろうか?それとも本心から、思ってくれたのだろうか?
後者はないだろうな、多分。だってさ、どこまでいっても彼女は暗殺者で、俺は殺害対象なのだから。
「……あのさ、プリクラ撮ろーよ」
志乃ちゃんは下を向いてそんなことを言う。志乃ちゃんが、プリクラなんて言葉を知っているなんて!でも、
「なんでプリクラ?というかどこでそんなことを知ったんだ?」
俺がそう言うと、目を泳がせている志乃ちゃんは少し恥ずかしそうに頬をかきながら、こんなことを言う。
「少し気まずい人と距離を縮めるにはプリクラが良いって。……店員さんが教えてくれた」
「え!?俺とちょっと気まずかったの?」
俺が驚くように、言葉を発するとそれを勢いよく否定する。手をぶんぶんと横に振ってから、少し投げやりに言う。
「気まずいってそう意味じゃなくって。なんだろ……。なんかソワソワするというか」
「それは……恋だな」
「ち、ちがうわい!もう……」
ほらほら、と俺を急かすようにプリクラ機に向かう志乃ちゃん。それに、はぐれないように早足で俺もついて行く。
わい!って何それ、可愛い。それにしてもカップルが多いな。志乃ちゃん大丈夫か。
そんなふうに思って横を見てみると、少し困ったようにして、顔を少し赤くして下を向いている。
「プリクラ撮りなれてないヤツってぽいなとか思われてないかな。それにカップルじゃないって追い出されない?」
心配そうにこっちを向いて、ヘルプを訴える志乃ちゃん。そんな姿に思わず笑いが込み上げてくる。
「誰だって初めてってあるんだしさ。それにプリクラはカップル限定じゃないぞ?まぁ、限定っぽく見えるけど」
周りでイチャつくカップルを見てるとそう見えてもおかしくない。俺たちは拳1つ分くらい開けて並んでいる。
「じゃあさ?カップルっぽく振舞ってみたら?ほら、腕組も?」
「……仕方なくですよ」
そう言って少し遠慮気味に腕を絡める志乃ちゃん。
俺がそんな不器用な志乃ちゃんに、笑っているとジロっとこっちを睨んできたが、俺の腕に抱きついている志乃ちゃんの可愛さの方が勝る。
「あの子たち可愛いぃ!初々しいすぎでしょ」
「ほんとー。まじ可愛い」
後ろの方から俺らをいじる声が聞こえてきて、耳まで真っ赤にしてる、志乃ちゃんは周りから顔が見えないように俺にさらに抱きつくようにして隠れる。
でも多分、それは状況を悪化させることになるのだが、俺的にはご褒美なので何もいわないでおこう。
「もう、お嫁にいけない……」
「安心しろ、俺が貰ってやるから」
「……はぁ」
この後、プリクラを試行錯誤しながら撮ったとさ。
♣♣
まずは10万文字目標にしますね。
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