第16話 エカバリー公爵家との決戦に備えて
『我が主、聞こえるか?』
『よく聞いて下さい』
『沙羅さん、真奈さん。ここ、夢の中ですか?』
『そうじゃ』
『それで、なんの用ですか?』
『エカバリー公爵家の今後の動きが分かりました』
『今後の動きってどうやって調べたのですか?』
『話が脱線するから、起きた時に覚えておったら、話すのじゃ』
『今後は、多くの刺客を送り込んでから、主を捕まえようとしています』
『なぜそこまで?元々、エカバリー公爵家には、それほど刺客に向いている人がそんなにいないのに。おまけに、それぞれの警備担当がいなくなったら、その人を守る警備担当がいなくて、敵が来た時太刀打ちできないのに』
『公爵とリリシャとか言う輩が我が主の事を狙っていたのじゃ』
『え?リリシャが?なんでかしら?』
『そこまでは……。すみません、調べてなくて』
『あ、せめている訳じゃないからいいわよ』
『ちなみに、最初の刺客はリリシャで、次は公爵だったのじゃ』
『それで、何としてでも主を捕らえようとしていますね。理由は分かりませんが』
『1日置きに、襲撃しようと考えておるのぅ』
『えぇ?いつから、始まるのですか?』
『『今日から(じゃ)』』
『えっ!もう寝ていますよ!』
『もう日付けが変わっているのじゃ』
『そろそろ、起きた方がいいと思います』
そして、私は目が覚めた。夢の内容だと、そろそろ、大変な事になる。孤児院にお世話になりっぱなしだし、孤児院を巻き込む事もできない。かと言って、前にあった子供攫いがまだ解決していない。今、調査中なのだと言う。
かくなる上は、エカバリー公爵家を内側から壊そう。そうと決まれば、リナに伝える。先に伝えないと怒られるのが、目に見えて分かる。いや、危険な事に足突っ込むから、かなり怒られるけど、伝えなかったら、余計怒られる。私の経験上そう感じる。
「リナ、ちょっといい?」
「はい。なんでしょうか?」
「実は……」
私は夢の中で沙羅さんと真奈さんの忠告について話す。エカバリー公爵家が、私を捕まえようとしている事、その中で公爵とリリシャが良からぬ事を企んでいる事、そこで1日置きに刺客を送り込んでくる事を伝えた。全てを伝えたら、リナはなにかを察したようで、どうするのかを聞いてきた。
「ルノ様は、多分エカバリー公爵家から送られてくる刺客に攫われたフリして、内側からエカバリー公爵家を壊そうと考えているのではないかなと思われてはいませんよね?」
「そうよ?なんでわかったの?」
「私の女の勘とでも言って起きましょうか」
「分かったわ」
「はあ、まぁ、1日置きに刺客に襲われるのも嫌ですし、足りなくなったら、どこかから補給してきそうですものね。分かりました。その作戦いいと思います」
「じゃあ、作戦実行してもいいのね?」
「ただし、こちらとしても大事なルノ様失いたくないので、ガロウ様にお話してから協力してもらえれば、実行という形でよろしいかと。協力が得られない場合には、なにか別の作戦を考えましょう」
「分かったわ」
私には、これがリナの最大の妥協点だと感じた。多分、ここまで融通を聞かせてくれたのは初めてだと思う。そして、私達は、ガロウさんの部屋の前に来た。扉をノックする。「入れ」と返事があったので、入った。
「失礼します」
「ルノとリナじゃねぇか?何かあったか?」
「実は……」
私は、リナに話した事と同じ事をガロウさんに話した。全てを聞き終えたガロウさんは、大きなため息をついた。
「作戦に協力してもらえませんか?」
「まぁ、いいか。こっちとしてもかなり不安だからな。ただし、危ないと思ったら退け。それだけは守ってくれ」
「分かりました」
そろそろ、エカバリー公爵家との関係も、本当の意味で終わらせよう。あの家とは、縁が切れていても良かったのに、都合のいい時だけ手のひら返しをしてきたあの家は、こっちから願い下げだ。私はそう強く決心した。
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