第2話 宵闇怪盗団とルノの出会い

 今日も、残飯を出された。明らかに、ゴミ箱から、取ってきたやつだ。しかし、私の食べる物は、これしかない。

「ルノ様、やっぱりこんな事おかしいですって。公爵様に言うべきですよ」

「いつもありがとう、リナ。でも、私はあなたの食べ物を改善したいわ」

「いいえ、可愛いお嬢様にこのような仕打ちにする公爵様の方が酷いと思いますよ」

 この人は、リナ。私付きのメイドだ。まだ、私に異能力がないと分かる前に、孤児だったリナを拾って、私の側仕えにした。以来、私にベッタリしている。しかし、そのせいで、私に異能力がないと分かると地下牢に入れられてしまった。

 でも、私に蔑むように、公爵からお触れが出た時は、地下牢から出してもらえると、言われていた。しかし、彼女はこう言った。

『私が欲しいのは、私が自由になる権利ではありません。私が欲しいのは公爵様がルノ様を幸せにしてくれると言う、約束です』

 この事を言ってしまったせいで、彼女も私と同じ扱いになってしまった。私は、リナに謝ったが、彼女はこう言った。

『ルノ様が悪い訳ではありません。ルノ様は前を向いて、歩き続けて下さい』

 私には勿体ない人だなと思いつつ、その事を思い返していた。すると、リナが話しかけて来た。

「ルノ様、上の方が、騒がしいですね?」

「えぇ、そうね。何かあったのかしら?」

 すると、左の方から、何かの鳴き声が聞こえる。

 私達は恐る恐る、左を見てみる。

 すると、そこには、大きなイノシシみたいな『何か』がいた。

「ひっ」

「ルノ様、下がっていて下さい」

『何か』は、私達の事を見ている。これは、まずい状況だと言う事が分かった。

「ブルルル……」

『何か』は、私達の事を獲物を見るような目で見ている。

 そう感じた直後、私に向かって来た。

「っ!」

「ルノ様!」

 私は、怖くて目を瞑った。その直後、ザシュッと、何かを切ったような音が聞こえた。私は、恐る恐る、目を開いた。

 そうしたら、口を大きく開けているリナと、幻想的な雰囲気を纏わせる男性がいた。

(綺麗な瞳……。佇まいもかっこいいし、貴族かしら?)

 貴族だとしても、おかしくない。それほど、美しい人だった。

「大丈夫だったか?」

「えぇ、大丈夫です……。あの、ここはエカバリー公爵家の地下牢ですよ?なぜいるのですか?」

「あぁ、俺たちは、ちょっと理由があってここに来たんだ」

「地下牢に?……もしかして、盗賊団の団長とかだったりして」

「……」

「すみません。変な事言ってしまって」

「……お前は、どこまで、盗賊の事を知っている?」

「だいたいの盗賊団の事は言えます。あれでも、あなたはどこかで見た様な……?」

「……。ッチ、そうかよ」

 そう言うと、彼は、私とリナを担いで、イノシシが開けた穴から、飛び出す。

「えっ、ちょっと?!」

「いいから、ついてこい」

「ひぃぃー怖いー」

「うるせえ」

 私達は、意図せずに、宵闇怪盗団の団長と接触した。

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