第14話 孤児院5日目

 孤児院に泊まって5日目の朝、月影さんとダラグさんは種族的に早起きできないとして、私以外誰も起きていない。孤児院の人達は起きているけれど、宵闇怪盗団のメンバーだと誰も起きていない。恐らく、2日酔いだろう。私は、まだどこの国でも未成年だから、飲めないけれどリナはどこの国でも成人と言う判定だから、飲んでも問題はない。まさか、酔いつぶれる程飲むとは思っていなかったけれど。

 ちなみに、成人年齢はエカバリー公爵家がある国、ティスサ国では16歳から成人だけれど、ガロウさん達の生まれ故郷である、フォルケル国では18歳が成人だ。ティスサ国では来年になったら成人だけれど、フォルケル国で飲むとするなら、あと3回誕生日を迎えないとダメだ。

 成人年齢は各国によって違うけれど、16~22歳に成人になる国が多い。ちなみに、リナは私と7歳差だ。

 今後、お酒は程々にしてもらおう。そう思いながら、時計を見たら8時になっていた。さすがに起こさないと不味い。

 私は、リナの寝ている部屋に行く。部屋について、ドアをノックする。返事がないので、勝手に入る。すると、具合の悪そうなリナの姿が見えた。

「ルノ様、何かご用でしょうか?」

「ご飯作ったから、食べて。後、もう朝よ?酔いつぶれる程飲まないで」

「すみません……。はじめて飲めたのでついついテンションが上がりまして……」

「心配するから、やめて欲しい。2日酔いには、何か軽い物の方がいいでしょ。お粥作って来たから」

「ありがとうございます」

「ゆっくり休んでね」

 私は、リナの部屋を後にした。次にガロウさんが寝ている部屋に向かおうと思っていたけれど、1人で行くのも恥ずかしいと思い、リルちゃんと一緒に行く事にした。そして、ドアをノックする。返事がないので、勝手に入る。

「ガロウさん、お粥置いておきますね」

「ガロウお兄ちゃん、お酒臭ーい」

「頭痛え……。ルノ、リルすまんな……」

「ルノお姉ちゃん、ガロウお兄ちゃんほっといて、遊ぼうよ」

「別の部屋に行きましょうか」

「うん!」

「ガロウさん、お大事にして下さいね」

「ありがとうな」

 そして、私とリルちゃんは遊んだ。その時に、かけっこをしたけれど、狼系獣人は足が速い。10回やったけれど、10回とも負けた。そして、そんな事をやっていたら、お昼の時間になっていた。

「そういや、今日は満月かなぁ」

「今日は、まだ違うはずだよ?」

「ちぇー、残念ー」

「何が残念なの?」

「ガロウお兄ちゃん、満月を見ると、狼さんになるの。かっこいいよー」

「え?!ガロウさん、狼男だったの?」

「そうだよー」

 何となく、ガロウさんは人じゃない可能性が高かったけれど、予想が外れた。私の予想では、『ヒューマネイチャー』と言う、フォルケル国ではよく見る種族だと思っていた。『ヒューマネイチャー』とは、限りなく人間に近い形態の自然だ。ここの国では、妖精とか精霊とかの類だろうけれど、世間一般的には、ちょっと違うと言われている。妖精、精霊は、人間を真似してないで、生活しているにも関わらず、ヒューマネイチャーはかなり人間らしい生活を意識している。ガロウさんを見ていて、そう判断したけれど、実際は違ったらしい。

 ちなみに、狼男は、少し珍しい。種族自体が珍しい。だから、びっくりした。まぁ、だからこそ、公表しないだろうけれど。ガロウさんは狼男だと言う事実を知って、びっくりしていたので、お昼ご飯の味はわからなかった。

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