第15話 孤児院5日目(午後)

 午後になり、さすがに回復してくるかと思っていた人達は結局、回復してこなかった。まあ、ダラグさんが起きているだけマシか。ダラグさんは、仕事があるから仕事をすると言って立ち去って行った。ちなみに、月影さんは二日酔い。あの日、程々にお酒を楽しむだけと言ったのに、その人が酔いつぶれるとかどうなんだろう。

 まあ、だらしない大人達は置いておこう。考えなきゃいけない事が増えている。まず、何か視線が多い。孤児院にいるから、子供達の視線だと思うけど、明らかに多い。恐らくエカバリー公爵家の使用人か何かだと思うけれど、そっちが追い出されてもおかしくない対応して、出ていったら追いかけ回すってどんな人種だよ。私が悪いのか?まあ、決めつけるのは良くない。となると、原因が思いつかない。答えの出ない考えはもうここで切り上げよう。その時、背後から殺気を感じた。と同時に、沙羅さんと真奈さんが飛び出てきた。

「お主、我が主に害をなそうとしたな?」

「あなたには、氷漬けにして差し上げましょう」

「こいつらどこから出てきたんだ?まぁいいや。ルノ、さっさと来い」

「ほとんど、話が通用していない。後、私はどこにも行かないわよ?」

「いいからさっさと来い。異能力を手にしたからと言って立場が上になったつもりか?」

「そんな事は思ってないわよ?ただ、今の心地良い時間をあなた達に割く気はないわ」

「そうじゃ。だいたい我が主にあんな酷い仕打ちしといて、謝りもせん」

「その上、必要になったら戻って欲しいとか、図々しいにも程がありますよ」

「うるせえ、さっさとついて来い!」

「ダメね。話が通用しない。沙羅さん、真奈さん、戦いましょう」

「「御意」」

 そして、隙をついて沙羅さんの蜘蛛の糸で、動きを止めた。そこから、じわじわと真奈さんの氷で凍らせていく。ちなみに、ちょっとやそっとで壊れない蜘蛛の糸だから、抜け出すのは、大変かも。

「卑怯者、清々堂々と戦え」

「奇襲しようとしたやつが、よく言えるのじゃ」

「あなたに同感です。沙羅に言われるとか余程ですよ」

「なんじゃと!お主、どういう意味じゃ!」

「助けてくれ。頼む。凍りたくない」

「「ダメ(じゃ)」」

「凍ったら、未来になっても、凍ったままよ。そのまま永遠に凍っていれば?」

 そのまま凍ってしまった。可哀想と少し思ったけれど同情はしていない。私を奇襲しようとしていた時点で同情する材料が無かったからだ。とりあえず、ガロウさんに報告しに行った。コンコン。返事がないので、そのまま入る。

「失礼します。ガロウさん、ちょっと報告があります」

「なんだ?一応、話は聞けるぞ」

「実は……」

 そのまま、エカバリー公爵家の刺客が襲ってきたことをお話した。全部話すと、ガロウさんは頭を抱えていた。

「何で、ほっといてくれねぇかな。もうルノ関係ねぇだろ」

「恐らく、異能力が使える事が分かったと思われます。異能力を大事に考えている家ですから」

「なるほどな。ルノは開花しているからそれもあるかもな」

「何にしても、今後は注意します」

「そうだな」

 そして、私はガロウさんの部屋を出る事にした。その時、ガロウさんが「自分を大事にしろよ」と言っていたので、「はい」って返した。少し、気持ちが嬉しくなった。

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